要望書・見解等

2020年度


標題 「黒い雨」訴訟判決の控訴に対する声明
日付 2020年8月21日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫)
 
 私たちは、平和を擁護し、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重および全人的存在の原理に則り、人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現をめざす専門職であり、多様な人々や組織と協働することを言明する組織です。

 広島地方裁判所は2020年7月29日に原爆投下後に放射性物質を含んだ「黒い雨」を浴びて生じた健康被害による被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法とし、処分の取消しを求めた訴訟で、70~90代の男女84人(うち9人は死亡)全員の却下処分を取消し、被爆者と認めて手帳を交付するよう命じる判決を言い渡しました。

 この判決では、黒い雨に放射性微粒子が含まれ、直接浴びる外部被曝に加え、井戸水や食物の摂取における内部被曝が想定できると指摘されており、原告らの被害主張は信用できるとしています。また原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)(以下「法」という。)が「原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった」と定める3号被爆者に該当すると断じています。この判決によって、75年の長きに渡って「黒い雨」による健康被害にさらされながらも、制度的支援の対象外に置かれてきた人々への支援の道が開かれることが期待されましたが、被告である広島市と広島県は、国の要請を受け、この判決に対し、控訴する方針を決定しました。

 法の前文においては、「被爆後五十年のときを迎えるに当たり、我らは、核兵器の究極的廃絶に向けての決意を新たにし、原子爆弾の惨禍が繰り返されることのないよう、恒久の平和を念願するとともに、国の責任において、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策」を講じることが明記されています。
 また、調査に基づくと言われている大雨地域の線引きは、そのことによって被害者を区分することとなり、実際に被害があっても制度からこぼれ落ちる人々が生まれる等の限界と弊害があります。私たちソーシャルワーカーは制度の狭間にあるこれら人々の生活課題に個別に向き合い支援します。広島では、これまでも「原爆被害者相談員の会」と医療・福祉機関等に従事するソーシャルワーカーが、長期間に亘る被爆者に対する支援等を展開してきました。

 私たちは、ソーシャルワークの原理と実践の観点から、被害者の個々の声を真摯に受け止め、控訴に対して反対の意思を表明するとともに、終戦75年の節目を迎え、大雨地域の線引きを乗り越えて、現に健康被害がある方の1日も早い救済を強く求めます。

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【構成員の皆さまへ】「黒い雨」訴訟に係る構成員からの寄稿について(2020/09/07)



標題 旧優生保護法被害者の国家賠償請求訴訟に関する声明
日付 2020年8月7日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫)

http://jfsw.org/2020/08/07/1855/


標題 生活保護基準引き下げを巡る名古屋地方裁判所判決にかかる抗議及び要望について
日付 2020年7月31日
発翰番号 JAPSW発第20-121号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子
提出先 29都道府県の地方裁判所 所長 様 
 
 本年6月25日に名古屋地方裁判所が生活保護費減額違憲訴訟に対する原告の請求を全面棄却したことは、精神障害やメンタルヘルス課題を中心としたソーシャルワークの実践者・教育者・研究者の団体である本協会としましては、到底容認できるものではありません。

 この裁判は、2013年から2015年にかけて3度に渡って行われた生活保護基準引き下げに対する、全国29都道府県における1,000人規模の原告と約300人の弁護団による違憲訴訟であり、生活保護利用者が地域や年齢階層や世帯構成の別なく、生存権保障を求める画期的な集団訴訟です。

 本協会は、最初の判決となる名古屋地方裁判所の判断が今後の各地での裁判と世論に与える影響を危惧し、抗議するとともに下記のとおり要望いたします。
 
  1.生活保護基準の適切性の判断は、客観的で測定可能な根拠に立脚してください。
 憲法第25条が規定する生存権保障を具現化するためには、裁判長が容認した『国民感情』のような曖昧で恣意性のあるものに、「健康で文化的な最低限度」の判断根拠を委ねるべきではありません。
 『国民感情』への配慮は、生活保護受給者に対するバッシングやスティグマの黙認とも受け取れますが、貧困の要因を個人に帰する考え方は改められるよう司直に要望いたします。

2.生活保護基準の引き下げによる社会的弱者の増大を回避してください。
 今般の引き下げは、全被保護世帯の96%に、平均6.5%、最大10%の削減幅で影響が及んだとされることに加え、住民税の非課税限度額や就学援助の対象者等の決定基準、医療・障害福祉サービスの減免区分にも影響し、健康で文化的な最低限度の生活の危機に晒されている人を捕捉しきれず、社会的弱者や生活困窮者を増大させた可能性は否定できません。
 なお、コロナ禍での経済活動の停滞により失業者が急増し生活保護を必要とする状況は誰にも起こりうる現状に鑑み、裁判所には、生活保護制度が生存権を保障する重要な役割を果たすことを深慮した判決を求めます。

3.生活保護基準の決定における厚生労働大臣の裁量を抑制してください。
 厚生労働大臣が、自ら省内に設置した有識者会議である社会保障審議会生活保護基準部会等の専門家の検討結果を謹聴せず、『国の財政事情』による生活保護基準を決定することを裁判所が是認すれば、専ら厚生労働省内での密室化した検討に偏り、官僚主導で随意の政策決定を看過することになりかねません。
 三権分立における法の番人として、司法には厚生労働大臣の裁量権の濫用防止の機能を期待いたします。

 なお、本協会は、精神保健福祉士の全国団体として、地域共生社会の実現に向けて精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進し、誰一人とり残されないよう社会正義の実現を追求するとともに、社会的弱者の権利擁護に務める立場から、一連の裁判の動向に注視するとともに、国に対しては以下を要望することにいたします。

<要望事項>
 貧困の自己責任論を明確に否定するとともに、必要な人が確実に生活保護を受給できるよう憲法第25条に基づく生存権保障の考え方を正しく社会に知らしめ、その実現のための財源を国の責任において確保してください。

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標題 生活保護基準引き下げを巡る訴訟判決についての声明
日付 2020年7月17日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫)、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟 会長 白澤政和

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標題 新型コロナウイルス感染影響下における現場実習の実施について(お願い)
日付 2020年7月14日
発信者 公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子
提出先  一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟 会長 白澤政和 様

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標題 地域共生社会の実現に向けた社会福祉士及び精神保健福祉士の活用に関する附帯決議に対する声明
日付 2020年6月12日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠、公益社団法人公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫)
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟 会長 白澤政和

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標題 2021年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた要望書
日付 2020年5月29日
発翰番号 JAPSW発第20-43号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 部長 橋本泰宏 様

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標題 新型コロナウイルス対応に関する要望について
日付 2020年5月21日
発翰番号 JAPSW発第20-30号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 部長 橋本泰宏 様

 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大対策に連日ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。このような状況の中、国から感染防止対策及び障害福祉サービス全般の取り扱いについて通知やQ&Aを積極的に発信していただき、現場での不必要な混乱を避けることができていると存じます。今後とも引き続き積極的な発信をお願いいたします。

 さて、今般の新型コロナウイルスの拡大で国全体として経済への打撃、また失業者の増加など懸念される課題が表出されていますが、精神障害者およびご家族にとっても今までの生活が脅かされている現状があります。また、精神科病院等で入院中の患者に対して、クラスターの発生予防の観点から面会が制限される状況も続いています。

 つきましては、そのような精神保健医療福祉の現場の実情を踏まえ、下記の通り、要望いたしますので、ご高配のほどお願いいたします。
 なお、就労関係については、労働分野全体で検討されていることと存じますが、障害福祉関連事業に関する要望としておりますことを申し添えます。

 
 
1.障害福祉サービス事業所等の感染症対策のために、市町村のネットワークを強化してください
 障害福祉サービス事業所等(以下「事業所」という。)で感染があった場合の迅速な対応のために、各利用者の併用している事業所のリスト化を全市町村に呼びかけてください。この実践はすでに愛知県半田市などで行われています。障害福祉サービス等を併用している利用者からの感染拡大を防ぐために、併用している事業所へ早急に情報提供する必要があります。
 該当の事業所は感染症対策でその対応までできない状況にありますので、その役割は、市区町村と基幹相談支援センターの運営事業者が責任を持って担う必要があります。事業所ごとに利用者の併用サービスがわかるようにリスト化するよう働きかけてください。また、市区町村を跨って障害福祉サービスを利用している場合もあることから、市区町村ごとに全国で共通した様式に基づくリストを作成し、事業所において感染が発生した場合の併用事業所への速やかな情報提供が可能とする枠組みを構築いただき、国から周知してください。

2.IT機器の積極的な活用を促進してください
 精神科病院などでは、感染拡大防止のため患者との面会が禁止になっているところが増えており、地域移行支援をしていたとしても、現在対象となる人への支援ができない状況にあります。また、障害福祉事業所等でも休業や利用制限している施設が増えてきていますので、IT機器などを積極的に活用し、オンラインによる面会や相談支援ができる体制を構築してください。すでに大阪府堺市では、希望する施設にタブレット端末を無償で貸し出し、オンライン面会を支援する動きがでていますので、このような取り組みを全国的に広げてください。

3.就労支援事業所の生産活動収益等の減収に対し適正な補償をしてください
 就労支援系の事業所については、社会全体の大幅な経済活動の低迷の影響を受けて生産活動収益の減収が顕著になってきています。生産活動収益の減収分を訓練等給付費から充てることで利用者の賃金補償は可能ですが、事業所全体の収入減を避けることはできません。このまま事業所の経営が不安定になり、運営が滞ることになると利用者や家族の不安がより一層高くなると懸念しています。安定した事業所運営を維持していくために、生産活動収益等の減収に対し適正な補償をお願いいたします。

4.休業期間中の就業障害者のサービス利用の調整を図ってください
 感染流行地域を中心に、休業している企業が多くあり、雇用されている障害者が自宅待機となって所在ない日々を送っているのではないかと危惧しております。可能であれば、本人の希望によって休業期間中の障害福祉サービス利用が可能となる方策を講じてください。臨時的な対応として、サービス等利用計画書の作成を省略して、例えば就労前に利用していた事業所の利用を認めるなど、柔軟な対応とその際の事業所への報酬担保をお願いします。また、休業している企業に雇用されている障害者がどのような状況にあるかを把握し、必要なサービスにつなげるよう市町村への働きかけをお願いいたします。

5.緊急対応の相談支援に必要となる物品を支給してください
 マスクなどについては、障害者福祉サービス事業所に配布されていますが不足状態が続いています。また自治体によっては、相談支援事業所に感染予防の品物が届いていない地域もあります。相談支援事業所は、感染症が拡大し障害福祉サービスの利用ができなくなった場合、代わりの障害福祉サービスを緊急に調整するなど、必要な生活支援のコーディネートを行います。そのような緊急の支援に出向く際、十分な感染防止の衛生用品が行き届いていない地域があります。マスク・消毒液・ガウン・ゴーグルなど市場では品薄で全く入手できない感染予防に必要な物品の安定した支給を求めます。

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標題 新型コロナウイルス感染症について(会長メッセージ)
日付 2020年4月28日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先 構成員の皆さまへ


 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々及びご家族・関係者の皆さまに謹んでお悔やみを申しあげますとともに、罹患された方々に心よりお見舞い申しあげます。

 今世界中が、新型コロナウイルスによる感染症の脅威に曝されています。日本においても確認された感染者は1万人を超え、介護現場や保健医療福祉現場は混乱し、救急医療体制は崩壊寸前、世界経済も恐慌の一歩手前、現時点でも社会全体が受けた打撃の深刻さは言葉に表すこともできません。

 皆さまも全く先の見えない状況の中、感染の不安と感染させる恐怖におびえながら、日々をお過ごしのことと思います。普段と変わらず勤務されている方もいれば、テレワーク等を活用し在宅で仕事をされている方、休校になったお子さんや介護サービスが使えなくなったご家族のために休業を余儀なくされている方もおられると思います。またコロナ対策のため日常よりさらに過酷な労働環境に置かれている方もおられると思います。この厳しい状況の中にあって、精神障害者の命と暮らしを守るために奮闘されている皆さまに心からの感謝と敬意を表したいと思います。

 行政機関、医療機関や障害福祉サービス事業所、介護事業所等、私たちの仕事の多くは社会を支えるために必要不可欠であり、自分や家族の健康だけではなく、市民や患者や利用者それぞれ対象とする方々の命や健康や権利を守る責務を負っています。私たちはそのことに誇りをもって働いていますが、コロナ感染が拡大する中、それが二重三重にも負荷となって心身を疲弊させておられないでしょうか?構成員の皆さまには、まずはご自身とご家族の健康を守ることを第一に考えていただくようお願いします。

 その上で、コロナウイルス感染拡大がもたらす様々な影響をソーシャルワーカー(以下「SWer」という。)として注視していただきたいこと、お願いしたいことをお伝えしたいと思います。

1.精神障害のある方の不安や孤立感に寄り添ってください
 今精神科病院の入院者は面会、外出・外泊などを厳しく制限されていると思います。病院にお勤めの方は、ストレスフルな環境を少しでも改善できるよう知恵を絞っていただければと思います。一方地域で暮らす精神障害者はデイケアや地域活動支援センターなどの居場所が閉じられ、望まぬ引きこもり状態に置かれています。就労支援事業所が開いていても恐怖から利用を控えている人もいるでしょう。テレビやネット上に流れる不確かな噂や情報が不安を煽っている状況もあります。緊張と孤立を深める中で、心身のバランスを崩す人が今後ますます増えてくるのではないでしょうか。面接や訪問も憚られる状況の中、電話や手紙、メールなどの手段を工夫し、不安を和らげ、孤立を防ぐ配慮をすでにされていること思います。地域で働く皆さまには感染対策や経営上の不安を抱えながらの運営の苦労は察するに余りありますが、なお一層の注意を払って精神障害者の命と暮らしを守っていただきたいと思います。

2.コロナ禍がもたらす様々な社会問題、メンタルヘス課題に注意を払ってください
 緊急事態宣言のもと、休校・休業要請がだされ、多くの人々が一日中自宅にとどまらざるをえなくなりました。そのような中、DV、子ども虐待、高齢者虐待など身近な他者への暴力が顕在化しているとの情報もあります。感染不安だけでなく経済的な不安を背景に緊張が高まり、憎しみや怒りを身近な存在に向けるのでしょう。様々な制約から依存症の深刻化も危惧され、それが家族への暴力の背景にあることも否定できません。今後は倒産や失業に追い込まれ、経済的破綻からうつ病の発症や自殺リスクも高まるのではないでしょうか。
 ウイルスが封じられても、世界恐慌に並ぶ可能性もあるという経済への痛手は、もっとも弱い立場にある人たちを直撃し、困窮の波間に沈めていくのではないか。貧困の拡大がさらにメンタルヘルス課題を深刻化させていくのではないか。その恐怖に身がすくむ思いです。まだ私たちが具体的に何ができるかを明示することはできませんが、SWerとして看過できないことだけは心に刻んでいただければと思います。

3.感染した精神科患者の受け入れ体制の整備が必要です
 精神科病院で陽性患者が発生したという報告が徐々に上がってきています。それでなくても密度の高い閉鎖空間にウイルスが入り込めば、高齢者や身体合併症を持つ人も多い精神科病棟の感染爆発は避けられません。軽症の人はできる限りその精神科病院で対応することとされていますが、感染症に関しての知識や経験、あるいは地域によってもバラつきがあることが想定され、一般科と比しても少ない人員、十分な防護具の備えもなくはたして対応可能なのか、また重症化した場合に速やかに転院を受け入れてくれる医療機関はあるのか、あるいは新規の入院希望者が陽性であった場合、受け入れ拒否、たらい回しということも起こってくるのではないか。切迫した現実はすでに起きつつあると思います。精神障害があるというだけで命の選別がされてはならないことは言うまでもありません。しかし救急医療体制や精神科医療体制の脆弱さを改善しない限り、使命感や熱意だけでは命を守ることはできません。医療体制などの課題で受け入れや治療が困難とされることに対し、各都道府県がどのように体制整備をしているか、受け入れる総合病院や公立病院とのネットワークは構築されているのか、構成員の皆さまには自分の地域がどのような体制構築がなされているのか関心を払っていただきたいと思います。その不備については国や自治体に責任ある対策を講じるよう要望していかなければならないと思います。

4.コロナ感染にまつわる差別や偏見に対し、強い姿勢で臨んでください
 「ホモ・デウス」の著者である歴史学者が朝日新聞のインタビューで「我々にとって最大の敵はウイルスではない。敵は心の中にある悪魔です。憎しみ、強欲さ、無知。この悪魔に心を乗っ取られると、人々は互いを憎み合い、感染をめぐって外国人や少数者を非難し始める。これを機に金儲けを狙うビジネスがはびこり、無知によってばかげた陰謀論を信じるようになる」と語っています。この悪魔はすでに跳梁跋扈をはじめ、ふだんは見えにくい社会の矛盾や病理を様々な場面で噴出させています。感染者に対する差別的な言動、医療従事者やその家族にまで及ぶという心ない仕打ち、保健所等相談窓口に寄せられる理不尽な要求や苦情など、ウイルスは人の悪意まで増殖させていくようです。エイズ、結核、ハンセン病など感染症には差別や偏見による嫌がらせが宿命のようにつきまといます。感染症ではありませんが精神障害者もつねに人々の無知と無理解に曝され社会から排除されてきました。精神障害者と共にそれと戦ってきた私たちは無知や偏見による差別を最も鋭く感知できるSWerのはずです。精神保健福祉士は直接的なウイルスとの戦いの最前線には立てません。しかし二次的に起こってくる差別や社会の荒廃には立ち向かうことができるのではないでしょうか。差別を許さないというメッセージを身近な現場から地域に発信、そして社会への発信が必要ではないかと考えています。

5.こんな時こそ、つながりを大切に!
 本年9月に予定されていた第56回全国大会をはじめとして協会が主催する多くの研修会やイベントが中止もしくは延期に追い込まれています。構成員同士がひざを突き合わせ、話し合う機会も奪われています。けれどつながること、悩みや問題を共有し、共に戦うことは可能です。協会が構成員の皆さまのつながりの場を提供することができるように、一人一人の声を集約し、社会へ発信すること、関係省庁に要望を挙げることなどに努力していきたいと思います。
 ぜひ皆さまの現場で、コロナウイルスの影響により直面している問題・課題について声をお寄せいただきますようお願い申しあげます。

 繰り返しになりますが、私たち支援者が感染予防に対し最大限の配慮と努力をすることが、結果的には支援される方々を守ることにもなります。どうぞご無理をなさらないで、この難局を乗り越えてください。皆さまとお会いできる日が一日も早く来ることを祈っています。

  [PDF版はこちら(370KB)]

 
【構成員の皆さまへ】
 新型コロナウイルスの影響に関しての現場での問題・課題について声をお寄せください。
 ※受付を終了しました。ご協力ありがとうございました。(2020/07/01)

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