要望書・見解等

2019年度


標題 第3次犯罪被害者等基本計画の見直しに向けての意見
日付 2019年8月28日
発翰番号 JAPSW発第19-189号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  警察庁犯罪被害者等施策担当参事官室 御中

 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 本協会は、精神障害者の権利擁護と地域生活支援を担う専門職の全国組織です。近年では、広く国民の精神保健保持に資するために、医療、保健、そして福祉にまたがる領域で活躍する精神保健福祉士の役割の重要性が増しており、医療機関や生活支援サービス機関をはじめ、地方公共団体や学校、保護観察所や矯正施設等で活動をさせていただいております。

 さて、第3次犯罪被害者等基本計画では、「地方公共団体における専門職の活用及びこれらとの更なる連携・協力の充実・強化」の中で精神保健福祉士の活用についての記載をいただき、犯罪被害者等の理解と支援を押し進めようと本協会としても努力を重ねております。2016年には本協会に司法精神保健福祉委員会を設置して、犯罪被害者等支援に関する調査を実施しており、過去3年の間に27%もの本協会構成員が犯罪被害者等からの相談を受理しているとの結果(※)も出ております。しかしながら、犯罪被害者等への支援については、生活支援のための制度・サービスの不備に加え、専門職の位置づけが不明瞭で活用される場が極めて限定的であるために、実質的な専門的支援を行うことができていない状況です。つまり、犯罪被害者等の相談支援として、犯罪被害者等が活用できる制度・サービスのコーディネート(ケアマネジメント)やアドボケイト支援等は提供できていません。犯罪被害者支援等に国家資格であるソーシャルワーク専門職の有効な活用が頂けず、生活再建の目処が立たない犯罪被害者等が多数社会におられることを誠に遺憾に思っております。

 本協会としましては、犯罪被害者等の権利回復、精神的回復と生活再建に向けての支援体制強化促進のために、精神科医療機関、地方公共団体、その他関連機関における支援に精神保健福祉士が果たすべき役割があると強く認識しているところです。

 つきましては、第3次犯罪被害者等基本計画の見直しに向けて下記のとおり要望いたしますので、ご高配のほど何卒よろしくお願いいたします。

 
  1 重点課題における意見

第1-2-(4)「カウンセリング等心理療法の費用の負担軽減」
 犯罪被害者等のカウンセリングは重要な支援の一つである。しかしながら、精神科医療機関等に公費カウンセリング制度について周知徹底されていないため、広報啓発を都道府県警察に要請していただきたい。同時に、その対象を急性期の犯罪被害者等に限定せず、複雑性PTSDや病的悲嘆のご遺族等、中長期に生活課題を抱える犯罪被害者等にも適用できるように制度の再設計をお願いしたい。
また、犯罪被害者等は早期の具体的な社会生活再建のコーディネート支援が必要になることから、都道府県警察において、犯罪被害者等の精神症状と社会資源に精通した精神保健福祉士等を配置していただきたい。

第1-3-(2)「被害直後及び中期的な居住場所の確保」
 地方公共団体によっては条例で居住の安定のための施策を有しているが、利用実績は非常に限られている。地域格差と、制度の未周知、不適切なサービス内容によるものだと考えられる。それらの課題に対して、既存の制度活用として、生活困窮者支援制度による住居確保給付金の活用ができる。その他にも、この制度には、学習支援事業や就労準備支援事業が盛り込まれており、犯罪被害者等にとって、重要な支援となる。この制度の対象範囲を犯罪被害者等に拡大することを提案する。(すでに関連マニュアルではDV・性犯罪はその対象に含まれているが、ほとんど知られていない)

第2-1-(5)「犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進」
 医師だけではなく、精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師の養成校および大学院等でのカリキュラムにおいても、犯罪被害者等に関する専門的知識・支援技術についての項目が取り入れられることを切望する。

第2-1-(9)「交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等」
 訪問相談支援は、その場で的確なアセスメントを行い、様々な社会資源のコーディネートが必要になる専門性の高い業務である。二次被害を与えないためにも、訪問支援時には、福祉・保健等の専門職を派遣できる体制に改めていただきたい。

第2-1-(22)「犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する専門職の養成等」
 現在、加害者支援においては、保護・矯正関連施設において、専門に配置される精神保健福祉士や社会福祉士、公認心理師(臨床心理士)が活躍している。一方、犯罪被害者等支援分野においては、専門に配置される予算措置、配置場所の提案がなかったために、専門職の養成のニーズが高まらない状況にあり、加害者支援との不均衡状態が生じている。被害者支援人材の予算不足は、被害故のひきこもりや自殺、加害への連鎖を招き、その社会的損失は大きい。ソーシャルワーカー専門職に犯罪被害者等に関する専門的知識・技術を有する専門職の養成を行うための予算措置をお願いしたい。

第4-1-(3)「地方公共団体における専門職の活用及びこれらとの更なる連携・協力の充実・強化」
 犯罪被害者等の生活問題は、保健や福祉と密接に絡んでおり、様々な社会資源を熟知しコーディネートしていく技術が必要になる。また、現在、地方公共団体に犯罪被害者等が自ら相談する事案は多くはなく、総合的対応窓口開設のみでは支援を必要としている人に支援が行き届かない状況にある。被害直後からのアウトリーチによる支援を展開していく必要があり、そのためには専門性を有した職員配置が欠かせない。地方公共団体の総合的対応窓口を、保健や福祉を担う部署に置き、精神保健福祉士、社会福祉士および保健師等の専門職を配置することを推進願いたい。

第4-1-(14)「被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークにおける連携の推進」
 既に各都道府県レベルで被害者支援連絡協議会が設置されているが、これは関係機関代表者会議のような位置づけとなっている。また、警察署ごとに被害者支援地域ネットワークは、警察署が中心のため、生活支援に関する機関連携の弱さが課題として挙げられる。児童福祉法に基づく、要保護児童対策地域協議会(要対協)のような情報の取扱いに関する規定も含むような地域支援協議会の設置の検討を願いたい。広範囲で遭遇する事件発生の際の引継ぎや連携などについても、機能するようなネットワーク体としての協議会が求められる。
 また、被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークに参加する委員に、犯罪被害者等の更なる生活再建のためには生活支援の視点が欠かせず、その専門職を入れる意義がある。また、そもそも当事者の視点なくして施策を進めることは問題である。そのため、生活、医療、裁判等多岐にわたる分野について、具体的な事案に応じた対応力の向上を図るために、各都道府県の協議会・ネットワークに、最低1名は精神保健福祉士、社会福祉士、保健師等の生活支援の専門職のいずれかが加わるよう推進していただきたい。また当事者(本人、家族、遺族)も最低1名は加わるよう推進していただきたい。

第4-1-(17)関連「指定被害者支援員へのケアマネジメント研修の実施」
 警察において、指定された警察職員が、事件発生直後から犯罪被害者等に付き添い、必要な助言、指導、情報提供等を行ったり、被害者支援連絡協議会等のネットワークを活用しつつ、部外のカウンセラー、弁護士会、関係機関又は犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等の紹介・引継ぎを実施する「指定被害者支援要員制度」がある。この業務にケアマネジメントの手法が有効と考えられる。指定被害者支援要員のための知識等の研修にソーシャルワークの知見を活用いただき、犯罪被害者等の早期支援の充実を図っていただきたいと考える。

第4-1-(24)「検察庁の犯罪被害者等支援活動における福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実」
 加害者対応では、入口支援として検察庁が弁護士会とともに福祉的支援(更生支援計画)を積極的に推進している。一方で、犯罪被害者等には、その生活再建のための福祉的支援は提供されていない。事件事故後半年の支援がPTSD発症リスクを予防することが知られることからも、検察庁においても被害者対応専属の福祉専門職を配置するか、あるいは、外部福祉機関(相談支援事業所等)に委託をして支援を行う体制を構築すべきである。また裁判所に登録される精神保健参与員のように、検察庁に精通福祉専門職が登録される仕組みの導入を検討いただきたい。

  2 第4次犯罪被害者等基本計画に向けての新規提案(第3次犯罪被害者等基本計画の該当項目なし項目)

(1)アドバイザー派遣事業の活用
 地方公共団体の犯罪被害者等支援に専門職を活用することが第3次基本計画で明記されましたが、その活用は進展していない。そこで、地方公共団体(都道府県)において、精神保健福祉士、社会福祉士等を、犯罪被害者支援分野で既存の社会制度やサービスのケアマネジメント等を熟知した専門家として派遣し、総合的対応窓口の体制整備および困難事例等の対応助言にあたってもらう仕組みを創設することを提案する。当該アドバイザー派遣事業は、既に精神障害者の退院促進事業等でも活用されており、地方公共団体の生活困難を有する人々への専門的支援の拡充につながっている。

(2)犯罪被害者等の生活支援のための既存制度の対象拡大
 障害者福祉分野や高齢者福祉分野では、支援の根拠となる障害者総合支援法や介護保険法によって、市区町村でケアマネージャー(相談支援専門員や介護支援専門員)がケアマネジメントを公的に実施するために方針会議を開催することが定められ、多機関連携による具体的介入のための方針会議が開催され、中長期型の支援が実施されている。犯罪被害者支援においては、多機関連携が必須であるにも関わらず、具体的介入に欠ける状況にある。計画相談等のケアマネジメントサービスや生活支援が公的に即時に提供される仕組みとして、犯罪被害者等を対象としたケアマネジメントの仕組みを新規に導入する、あるいは、障害者総合支援法もしくは介護保険法のケアマネジメントの対象拡大により支援の拡充を図ることを提案する。実際、障害者総合支援法においては、2013年に難病患者が、2014年に矯正施設の退所者にもサービスが提供され始め、生活課題や地域移行が進んでいる。とくに、犯罪被害者等においては、事件事故後早期からのホームヘルプサービス(居宅介護)や同行援護が早急に制度設計されるべきと考える。

(3)包括的被害者支援窓口の設置
 地域によって、地方公共団体のタテ割り相談窓口では機能しない市町が目立つ。少子化社会の中、直近で省庁をまたいで率先して取り組むべきことは、被害者支援全体の体制の効率化・スリム化である。地方公共団体における犯罪被害者等総合的対応窓口を「被害者等総合対応窓口」とし、市区町村の被害者事案(犯罪被害、交通事故、その他事故、子ども虐待、障害者虐待、高齢者虐待、DV、ハラスメント、火災、被災等)を総合的に取り扱う部署として再編(委託可)していただきたい。これは、現在、保健福祉分野で国が進めている地域包括ケアや地域共生社会の発想にもつながる構想であり、潜在的な被害者支援を含めて、被害者支援を充実させていくために不可欠な発想と考える。なお、その窓口には、他領域の専門職(保健福祉:精神保健福祉士/社会福祉士/保健師、法律:弁護士、心理:公認心理師)の3職種配置を必置とし、多方面からの支援が得られるようにするべきと考える。

  (※)司法精神保健福祉委員会・報告書(プレ調査結果)司法分野における精神保健福祉士の関わりについてのアンケート[第1版]2018(平成30)年3月発行
 
[PDF版はこちら(376KB)]
 ▲上へもどる

標題 罪に問われた障害者に対する精神保健福祉士と弁護士の連携活動に関する要望書
日付 2019年7月1日及び4日
発翰番号 JAPSW発第19-121号の1、2
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  法務大臣 山下貴司 様、日本司法支援センター 理事長 板東久美子 様

 平素よりお世話になっております。
 本協会は、精神障害者の権利擁護と地域生活支援を担う専門職の全国組織です。現在、本協会と密接な関係にある都道府県精神保健福祉士協会等においては、弁護士等と連携し、罪に問われた精神障害者等の障害者の支援を行っております。

 都道府県精神保健福祉士協会等と弁護士会が連携して、あるいは、地域の精神保健福祉士と弁護士が個別に連携し、精神保健福祉士が接見に同行し、アセスメントを行い、社会復帰後の支援に関する助言等を行うとともに、更生支援計画書を作成し、裁判において証言をするなどの活動を行っており、当該活動は各地に広まってきているところです。

 このような連携については障害者の権利擁護にとって非常に重要な活動であり、今後も活動が広がっていくことを願っております。

 もっとも、上記のような活動に対する費用の支出については、例えば原則10万円を上限として弁護士会を通じて費用を支出するなどの制度が作られている地域があるものの、ほとんどの地域については制度的担保がなされておらず、罪に問われた障害者の入口支援及び出口支援の多くの事案では当該者の貧困が背景にあることも関係し、無償あるいは十分な報酬を受け取らずに活動を行っている精神保健福祉士がみられるのが現状です。

 本協会としては、このような人権擁護に必要な活動を継続、普及していくためには、日本司法支援センター等において当該連携に係る費用支弁の制度を構築していただくなど、連携費用に関する制度的担保を構築するためのご理解と積極的な取組みが必要と考えております。

 したがいまして、本協会としましては、罪に問われた障害者の支援に係る弁護士との連携費用について、予算が確保され、制度的に担保されることを要望いたします。


[PDF版(法務大臣宛)はこちら(109KB)]
[PDF版(日本司法支援センター理事長宛)はこちら(140KB)]
 ▲上へもどる

標題 児童虐待を早急に根絶するため児童福祉司にソーシャルワーク専門職である社会福祉士・精神保健福祉士の必置に関する要望
日付 2019年6月28日
発信者 日本社会福祉士会 会長 西島善久、日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠、日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫、日本ソーシャルワーク教育学校連盟 会長 白澤政和
提出先  厚生労働大臣 根本 匠 様

こちらをご覧ください。(日本ソーシャルワーカー連盟ウェブサイトへのリンク)
 ▲上へもどる

標題 2020年度診療報酬改定に関する要望について
日付 2019年6月27日
発翰番号 JAPSW発第19-1151号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先  厚生労働省 保険局 医療課長 森光敬子 様

 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて、精神保健医療福祉における新たな政策理念として「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が掲げられ、現在第7次医療計画及び第5期障害福祉計画においてその基盤整備とともに、多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築に向けて、各医療機関の医療機能の明確化が進められているところです。

 本協会としましては、精神障害者の地域生活への移行及び地域生活の定着のさらなる強化促進のために、圏域内における精神科医療機関内外に渡るネットワーク構築に精神保健福祉士が果たすべき役割があると強く認識しているところです。

 つきましては、2020年度の診療報酬改定に向けて以下のとおり要望いたしますので、ご高配のほど何卒よろしくお願いいたします。
 

  1.通院・在宅精神療法(I002)において、精神科を標榜する保健医療機関の外来診療部門に精神保健福祉士を1名以上配置した場合の体制に係る加算を新設してください。(10点)
 
<具体的要望内容>
 精神科を標榜する保健医療機関の外来診療部門に精神保健福祉士を1名以上配置し、入院中の患者以外の患者及びその家族に対して、必要に応じて保健所、市町村、障害福祉サービス事業所、介護保険事業所等と連携し、療養生活環境を整備するための支援体制がとられている場合において、通院・在宅精神療法の所定点数に加算できるようにしてください。

<理由>
 通院・在宅精神療法は、精神疾患を有する患者に対して、精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法とされています。そうした治療と併行して、精神保健福祉士が患者の抱える生活課題等に関する相談に応じ、必要な制度や資源に関する情報提供及び利活用支援、関係機関との連絡調整といった生活環境の調整を行うことで、通院・在宅精神療法はより効果が発揮されると考えます。通常は精神保健福祉士による相談支援を必要としない患者についても、外来診療部門に精神保健福祉士を配置することで、必要時に適宜生活課題等の専門的相談支援を受けられる体制を取ることは、特に他者との交流に乏しく社会的に孤立している精神疾患患者に社会参加の機会を提供することにもつながると考えます。
 また、精神障害者の職場定着や就労支援の強化に向けて実施されている「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」においても外来診療部門の精神保健福祉士がその役割を担うことが可能となることで、一層の強化が見込めます。

<有効性>
 患者の支援ニーズを的確に把握し医療機関と関係機関との連携を強化していくことで、患者を中心とした支援ネットワークを形成することが可能となります。また、患者の生活上の課題等が病状に大きく影響することから、精神保健福祉士がその解決を支援することにより、患者の安定した地域生活の維持・継続に資することとなります。これらの取組みにより、診療を担当する医師の負担軽減、新規入院の予防及び退院後1年未満再入院率の低減による入院医療費抑制への効果が期待できます。

参考資料
1.精神保健福祉士の外来診療部門への配置に係る参考資料
2.外来部門に配置される精神保健福祉士の有効性に関する事例
3.【結果概要】外来患者等に対する精神保健福祉士の相談援助業務等に係るアンケート調査
4.「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」の拠点ハローワークと連携先医療機関一覧


  2.「精神科訪問療養生活環境整備支援料」(仮称)を新設してください。(550点/1回)
 
<具体的要望内容>
 精神保健福祉士等が患家等に訪問し患者又はその家族等に対して、療養生活環境を整備するための支援を行った場合の「精神科訪問療養生活環境整備支援料」(仮称)を新設してください。算定可能機関は、精神科を標榜する医療機関及び精神科訪問看護療養費の基準を満たす訪問看護ステーションとし、週3回を限度に算定可能とします。
 対象は、入退院を頻回に繰り返す、家族によるサポートが難しい、障害福祉サービス等の社会サービスにつながっていない等、治療中断となるハイリスク患者に限定することが適当と考えます。また、療養生活環境の整備を目的とするため、患家への訪問に限らず、就労支援事業所等の日中活動の場への同行、他科を含む医療機関への連携目的による受診同行等を行った場合も算定することが可能とする必要があります。

<理由>
 精神科の通院・在宅等患者は、安定した地域生活を維持するために、生活上の課題等が病状に大きく影響することを防ぐ必要性が高い者が多く存在します。そのための相談及び制度活用、日中活動の場の確保や利用及び利用機関等と医療機関との連携など、生活課題と医療的ケアの関連についてのニーズを生活の場において把握し支援に結び付けるといった療養生活環境整備は、精神保健福祉士の専門性を生かした訪問支援が有効と考えます。
<有効性>
 これらの取組みにより、家族又は同居者から虐待を受けている又はその疑いがあるような状況、家族が接し方に悩んで困難を抱えている状況、生活困窮状況、経済活動に困難を抱えている状況、頻回な入退院及び通院中断のリスク、福祉・介護サービスへのアクセス困難又は利用中断、近隣との交流課題など、さまざまな生活困難課題と病状への影響などに対して、患者及び家族、関係機関支援者への適切な支援を提供可能となります。
結果として、多様な困難状況による生活破綻と派生する社会的費用支出の抑制、病状悪化及び再入院防止に資すると考えます。
 なお、精神科訪問療養生活環境整備支援料の新設により、医療機関における精神科訪問看護・指導については精神保健福祉士の撤退が予想されるため、新たな財源は必要としません。


  3.精神科退院後生活環境調整会議実施加算Ⅰ(仮称)を新設してください。(300点/1回)
 
<具体的要望内容>
 精神病棟に入院中の患者のうち、入院後7日以内の退院後支援のニーズに関するアセスメントの実施により、医療的ケアの必要性とは別に退院困難な要因を有する患者を対象として、関係機関も含めた多職種による「精神科退院後生活環境調整会議」を実施し、入院日から起算して1年以内に退院した場合に、入院中2回に限り「精神科退院後生活環境調整会議実施加算Ⅰ」(仮称)を算定できるようにしてください。
 この場合において、「精神科退院後生活環境調整会議」には精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則に定める医療保護入院者退院支援委員会及び「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」(平成30年3月27日、障発0327第16号)に基づく退院後支援計画作成のための会議を含めることとしてください。

<理由>
 医療的ケアの必要性とは別に退院困難な要因を有する患者の退院及び地域移行支援においては、福祉サービスの利用や居住資源確保、家族関係調整など、関係機関を含めた多職種による退院後生活環境調整が欠かせません。現状において、そのような会議等の開催実施の必要性は高く、実際に実施されているものの、医療機関に対する評価がないことから、会議が有効に活用されないことが懸念されます。

<有効性>
 精神科退院後生活環境調整会議の実施が促進されることにより、地域定着における定着阻害要因が減少し、さまざまなリスク回避が可能となると考えられます。病状悪化や再入院防止につながることで医療費抑制にも資すると考えます。

<参考>
 本協会が実施した精神保健福祉士の業務実態等に関する調査(調査日2017年12月6日8:00~12月7日7:59)の集計結果によると、主な勤務先が医療機関である精神保健福祉士(n=1,804名)の業務ごとの実施者割合のうち、「会議」の実施者割合は87.5%と高く、平均実施時間は73.4分であり、そのうち1時間以上の時間を費やしている割合は42.6%であった。「会議」の内訳では、ケア会議(退院支援委員会や所属機関の内外を問わず、当事者や家族の支援の方向性等に関する会議を含む)の平均実施時間は16.2分であった。


  4.精神科退院後生活環境調整会議実施加算Ⅱ(仮称)を新設してください。(300点/1回)
 
<具体的要望内容>
 任意入院の患者に対し、入院後1年経過時及び以後2年ごとに入院(継続)の意思確認をする際に、精神保健福祉士が行政を含む関係機関と精神科退院後生活環境調整会議を実施し、実施後1年以内に退院した際に加算できるようにしてください。

<理由>
 1年以上長期在院患者のうち4割はIADL支援及び居住資源や家族関係調整等の困難の解消ができれば退院可能と言われています。また任意入院の形態であっても漫然とした入院継続の防止と退院への意欲喚起の観点から、入院後1年経過時及び以後2年ごとに入院(継続)同意を書面で確認する仕組み※が設けられていますが、形式的なものとなっている可能性が高いと認識しています。本手続きの機会を生かし、患者本人及び支援者がともに、入院長期化の意識と退院意欲の喚起や醸成につながるよう、本取組みを精神保健福祉士が行うことが必要と考えます。特に対象患者は、施設基準に精神保健福祉士の配置が設けられてない精神病棟入院基本料病棟に入院していることも多く、ソーシャルワークを担う者と出会えていないことが想定されます。既にある仕組みを有効活用できるようにすることが肝要と考えます。

<有効性>
 長期入院患者の多くが精神保健福祉手帳を持たない、地域の支援者の存在を知らないなど、権利遂行や情報アクセスができていない状況が改善されることで、当該患者の退院意欲の喚起につながることや、満足度が向上すると考えられます。


  5.精神科救急入院料(A311)及び精神科急性期治療病棟入院料(A311-2)の精神保健福祉士の配置基準を見直してください。
 
<具体的要望内容>
以下のように施設基準等の見直しを行ってください。精神科救急入院料施設基準における精神保健福祉士の配置を患者20名に対し1名とすること、及び精神科急性期治療病棟入院料施設基準における精神保健福祉士の配置を患者30名に1名としてください。

<理由>
 両病棟への入院患者の多くは、急性期症状の一定回復後に、退院及び地域生活定着に必要となる多様な生活困難課題の調整を行う期間が必要となります。入院前における地域生活や関係機関の状況の把握、家族関係調整や必要な制度活用や福祉サービス導入、居住資源調整など、時間と労力が欠かせません。適切な支援を行わないまま退院を迎えると、地域定着におけるハイリスクとなります。
 既に多くの精神科救急入院料病棟では基準以上の加配を行っている現状があり、要望するケースロードの妥当性を示す証左と考えます。

<有効性>
 現行評価を変えるものではありません。

参考資料
5.精神科救急病棟に勤務する精神保健福祉士と医療機関に勤務する精神保健福祉士全体との業務比較


  6.精神病棟入院基本料(A103)に係る精神保健福祉士配置加算の施設基準における自宅等への移行に係る要件を見直してください。
  <具体的要望内容>
 現行の精神保健福祉士配置加算の施設基準を見直し、当該保険医療機関の精神病床の全入院患者のうち、9割以上が入院日から起算して1年以内に退院することとして、これには転院及び死亡退院も含めることとしてください。

<理由>
 平成28年度精神保健福祉資料によると、2015年6月の入院患者の状況として、1年未満に退院して家庭復帰等及びグループホーム・社会復帰施設等に移行したものの割合(以下、「自宅等移行率」という。)は全国平均で73.1%でした。一方、1年以内に転院・死亡したものの割合(退院率)は14.5%であり、この割合は今後も同様に推移することが予想されます。そして、残りの12.4%がいわゆるニューロングステイとして1年を超える入院を継続することを示しています。このことからも精神病棟入院基本料算定病棟において、9割以上の自宅等移行率を達成することは極めて困難です。
 一方、第5期障害福祉計画では、精神病床における入院後1年未満退院率90%を目標値としていることから、精神保健福祉士配置加算の施設基準もこれに準じることが適当と考えます。

<有効性>
 平成29年精神保健福祉資料によると、施設基準等において平均在院日数の縛りがある10対1及び13対1を除く精神病棟入院基本料を算定する病棟の在院患者(全122,608人)のうち、在院期間が1年未満のものの割合は37.4%でした。こうした病棟に精神保健福祉士が配置され入院後1年未満退院率が高まることで、相対的に精神病床の在院患者数が減少し、医療費の抑制につながることが期待できます。


  7.入院集団精神療法(I005)及び通院集団精神療法(I006)の算定要件を見直してください。
 
<具体的要望内容>
 入院集団精神療法及び通院集団精神療法の算定要件のうち、「精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は公認心理師等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。」を「精神科医又は精神科医の指示を受けた精神保健福祉士若しくは公認心理師等で構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。」に変更してください。

<理由>
 平成29年社会医療診療行為別統計によると2017年6月審査分の入院集団精神療法は5,182件、通院集団精神療法は2,464件であり、低調に推移しています。その要因の一つには、実施職種として精神科医が必ず入っていることが考えられます。精神科医については近年の精神障害者数の増加傾向に鑑みて、通常の個別診療とは別に集団精神療法を実施する時間を確保することは極めて困難な状況にあります。このため実施職種については、依存症集団療法に関する算定要件に準じて、精神科医以外の職種による実施を可能とすることが適当です。

<有効性>
 入院集団精神療法及び通院集団精神療法に取り組む医療機関が増えることによって、入院の長期化抑止や地域生活の安定的な継続に寄与することが期待できます。また、医師の働き方改革に向けた取組みが検討されているところであり、精神科医の負担軽減にもつながります。


 [PDF版はこちら(399KB)]
   
 ▲上へもどる

標題 大阪・拳銃強奪事件をめぐる報道のあり方について(お願い)
日付 2019年6月27日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  報道機関各位

 大阪府吹田市の拳銃強奪事件では、負傷された巡査の一日も早い回復をお祈り申しあげます。

  この度の事件では、一部報道機関において容疑者が精神障害者保健福祉手帳を持っていたこと、障害者雇用されていたことが報道されました。

  このことについて、精神障害者の権利擁護と社会的復権を使命とする精神保健福祉士の立場からお願いがあります。

  事件報道の直後から、私たちが日常的に支援している精神障害のある人、特に精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」という。)を所持する人に様々な影響が出ています。「バス乗車の際に手帳を提示して割引を受けているが、報道以来差別を受けるのではと怖くなって手帳を使えなくなった」「手帳を所持しており障害者雇用で働いているが、職場で同じような目で見られないかと不安になった」等々の声が寄せられており、支援の現場では報道の二次被害ともいうべき事態が生じています。

  全国には約100万人の精神障害者保健福祉手帳所持者がおり、障害者雇用で働く人も60万人に迫る状況になっております。

  事件と精神障害者であることとの関係が明らかになっていない段階での、報道のあり方については慎重の上にも慎重を期すべきであり、特段の配慮を求めるものです。


[PDF版はこちら(98KB)]
 ▲上へもどる

標題 成年後見制度における本人情報シート作成への積極的な関与について
日付 2019年6月13日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  構成員の皆さま

こちらをご覧ください。
 ▲上へもどる

△トップページへもどる