要望書・見解等

2012年度


表題 抗議声明  成年被後見人選挙権に関する訴訟判決への政府控訴に強く抗議します!PDF86.6KB
日付 2013年3月28日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

 2013年3月14日、東京地方裁判所は、成年被後見人は選挙権を有しないとする公職選挙法第11条第1項第1号の規定(以下「本規定」)が、日本国憲法第15条第1項、第3項、及び第43条第1項等の規定に違反し無効であるとして、成年被後見人の選挙権を認める判決(以下、「本判決」)を言い渡しました。

 本判決は、成年被後見人も、我が国の主権者たる「国民」であり、本来選挙権を行使すべき存在であることを認め、成年被後見人の選挙権を制限することは憲法に違反するとの判断を下したきわめて妥当な判決です。本協会は、3月25日に会長声明を公表し、政府が控訴を断念することを強く要望しました。

 原告、弁護団、障害者関係団体をはじめ、多くの国民が同判決を評価し、控訴断念と公職選挙法の早期改正を訴えております。また、与野党を超えて議員が本件問題を控訴せず早期に改正させることを目指す動きも報道されておりました。

 しかしながら、政府はそのような国民の声を無視し、また、国会の責任についても放置したまま、公職選挙法の制度改正には時間を要し、選挙事務に混乱が生じかねないという単に手続き上の問題を理由に、3月27日、東京高等裁判所へ控訴を行いました。当事者である成年被後見人の心情、人権を無視した、時間稼ぎに過ぎないこの控訴理由は到底納得できるものではありません。

 本協会は、今回の政府の控訴に対して、強く抗議します。
 控訴審で審理継続となれば、今後の地方選挙および参議院選挙においては違憲状態のままで選挙実施がなされることとなります。障害等により成年後見制度の利用が必要であっても、法廷での原告の発言にあったように「選挙に行きたい」という希望は、主権者としての尊厳と権利の遂行であり、奪われた権利を回復させる責任が政府にはあります。
政府が一日も早く控訴を取り下げ、公職選挙法の本規定を削除する法改正を行うよう、改めて要請します。

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表題 成年被後見人の選挙権を剥奪する公職選挙法第11条1項1号を違憲無効とした東京地方裁判所判決に対する会長声明PDF86.6KB
日付 2013年3月25日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

 2013年3月14日、東京地方裁判所は公職選挙法において成年被後見人は選挙権を有しないとする第11条第1項第1号の規定(以下「本規定」という。)は、日本国憲法第15条第1項、第3項、及び第43条第1項等の規定に違反し無効であるとして、成年被後見人の選挙権を認める判決を言い渡した。

 本協会は、精神障害者の権利擁護と社会的復権を担い、自己決定の尊重に支援上の価値を置く専門職能団体として、成年被後見人の参政権の喪失の問題などに対し、その社会参加の機会を一律に制限するものであり、早急に見直されるべきであるとの見解を表明し、総務省に対しては「公職選挙法の見直しに関する要望」を提出し、公職選挙法の本規定の削除を求めてきた。

 今回の判決は、成年被後見人も、我が国の主権者たる「国民」であることを明らかとし、本来選挙権を行使すべき存在であることを認め、成年被後見人の選挙権を制限することは憲法に違反するとの判断が下されたものである。権利を擁護するはずの「成年後見制度」が、民主主義の根幹である選挙権を失わせているという現状における矛盾の是正に向けた画期的な判決であり、全国各地で争われている同様の選挙権裁判や法改正に向けた追い風になるものとして強く支持するものである。

 原告の希望は法廷での発言にもあるとおり「お父さんとお母さんと一緒に選挙に行きたい」ということであり、ご両親の年齢を考えても裁判を長期化させることなく、一日も早い解決を望みたい。また、選挙権がなくなることを危惧し成年後見制度の申し立てを控え、結果として護られるべき権利が護られていないという事例が存在するという現状もある。公職選挙法の改正が、必要な人への制度活用に寄与することは明確である。

 また、公職選挙法の本規定が「国連障害者の権利に関する条約」の12条2項の「障害のある人が生活のあらゆる場面において他の者と平等を基礎として法的能力を享有することを認める」との主旨に反し、批准の障害になっているといわれている。

 本協会は、政府が、成年後見制度のさらなる活用のため、また、権利条約の早期批准のため、控訴を断念され、一日も早く成年被後見人の選挙権を回復するために、公職選挙法の本規定を削除し、その他の必要な措置を取ることを強く要望する。

[参考]
○公職選挙法
第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 成年被後見人

○日本国憲法
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

第四十三条  両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
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表題 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正に関する意見
日付 1)2013年2月21日 2)2013年3月1日
発翰番号 1)JAPSW発第12-288号 2)JAPSW発第12-296号
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
提出先 1)自由民主党 政務調査会 障害者特別委員長 衛藤 晟一 様
2)公明党 厚生労働部会 部会長 渡辺 孝男 様、障がい者福祉委員会 委員長 高木 美智代 様

 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。
 平素より、わが国の精神保健医療福祉施策の発展充実にご尽力をいただいておりますことに、衷心より敬意を表します。

 さて、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下、「精神保健福祉法」という。)の一部改正案が今国会に提出される予定と伺っております。

 つきましては、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部から示された「精神保健福祉法改正に関する検討事項(案)」(以下、「検討事項(案)」という。)に関して、下記の通り本協会の意見を申しあげますので、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。

1.「T 精神科医療の将来の方向性」について

 精神保健医療福祉の改革ビジョンにおいて国が掲げた「入院医療中心から地域生活中心へ」を具体化していくためには、精神病床の機能分化、外来及び訪問型の支援の充実強化、多職種チームを基本とした医療提供の推進は欠かせないことから、厚生労働大臣が良質かつ適切な精神科医療の提供の確保に関する指針を定めることについては、全面的に賛同します。

 なお、多職種による医療提供の推進については、各専門職の資質向上が必須となることから、マンパワーの育成に関しても併せて指針で定める必要があると考えます。

2.「U 保護者制度の廃止」について

 精神保健福祉法に特有の保護者制度の廃止に全面的に賛同します。

3.「V 医療保護入院の見直し」について

1)医療保護入院の厳密化について
 検討事項(案)には示されていませんが、任意入院を原則としている精神保健福祉法の理念に照らして、本人にとっては強制的な入院形態である医療保護入院が年間20万件を超える現状を改善するため、入院医療に代替する選択肢がないことを医療保護入院の要件とするなどの厳密化が求められます。

2)「1.入院手続き等」について
 この間の議論では、家族に過重な負担を強いてきた保護者制度の廃止には、医療保護入院における入院の要件から保護者の同意を排除することも含まれているものと理解していました。

 しかるに、「『家族等のうちいずれかの者』の同意」を入院の要件として残すことは、入院時における本人と家族との葛藤・緊張関係を惹起する構造になんら変わりがないことを意味します。同時に、家族であれば誰でも同意者となれることは、本人の権
利擁護の観点から憂慮すべき事態を招く可能性があり、反対です。

 あくまでも、家族の同意は、他の医療と同様の取扱いとして、精神科医療のみ特別な扱いとすべきではないと考えます。精神科医療に関してのみ家族の同意を法律上規定することは、精神障害者に対する差別規定と受けとめます。

 保護者に代わり家族等が退院や処遇改善を請求できる規定は必要と考えます。

3)「2.早期の退院に向けた取組」について

 入院後の早期から本人の退院に向けて、精神保健福祉士等をはじめ多職種が地域の相談支援関係者との連携のうえ、診療計画(退院支援計画)に基づく支援を行う仕組みを規定することは有効です。退院支援を行う地域の相談支援関係者については、医療と福祉に関する知識を有する相談支援事業所の精神保健福祉士であることが望ましいと考えます。

 また、精神医療審査会の委員として精神保健福祉士を加えることについては、もとより本協会が要望してきたことであり、望ましい方向と考えます。

 なお、精神医療審査会の機動性や実効性を現実的に担保する仕組みについては、早急に検討することが必要です。

4.その他

1)精神保健福祉士の資質の向上について
 退院支援に携わる精神保健福祉士、相談支援関係者、及び精神医療審査会の委員となる精神保健福祉士には、その資質を担保するため、一定の研修を課すことが必要です。

2)法の見直し規定について
 精神科医療における非自発的入院制度のあり方については、権利擁護機能の強化に向け引き続き検討を行い、今回の改正法施行後の運用状況を精査したうえで、3年から5年を目途に法の見直しを行うことを附則に規定する必要があると考えます。

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表題 ソーシャルワーカーは生活扶助費の削減に反対します PDF105KB
日付 2013年2月15日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長  柏木 一惠
公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長  佐原 まち子   
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本 民夫
社団法人日本社会福祉士会 会長 山村  睦

  本年1月29日、政府は生活保護における生活扶助費の削減を盛り込んだ2013年度予算案を閣議決定し、間もなく国会における予算審議が予定されています。私たちソーシャルワーカーは、社会福祉分野において、子ども、障がい者、患者、高齢者などが抱える多岐にわたる生活課題の解決に向けた支援を行う専門職として、社会保障制度の根幹をなす生活保護制度の堅持を求めるとともに、生活扶助費の削減には断固反対します。

 最低生活基準については、厚生労働省に置かれた社会保障審議会最低生活基準部会において、一般低所得世帯の消費実態と均衡が図られているか検証を行い、本年1月18日に報告書をまとめました。同部会は、検証結果に関する留意事項として、「今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、今回の検証結果を考慮しつつも、同時に検証方法について一定の限界があることに留意」するとともに、「生活扶助基準検証の際参照されてきた一般低所得世帯の消費実態については、第1・十分位(*)の所得分布における動向に留意しつつ、なお今後の検証が必要である」ことを指摘して、生活扶助基準の見直しには慎重に配慮すべきと言及しています。

 閣議決定した生活扶助費の削減は、2008年と2011年における生活扶助に相当する消費品目の消費者物価指数の比較によるデフレ調整分4.78%を根拠の一つとしています。しかしながら、この消費品目には生活保護受給者では元来支出割合が少ない教養娯楽費(マイナス7.3%)などが含まれています。最低生活費の主要消費品目である食料費はマイナス0.5%、光熱・水道費はマイナス1.2%(2012年との比較においてはプラス2.8%)であることから、削減の明確な根拠はないと言えます。

 昨年来の一連の生活保護バッシングは、生活保護受給者の尊厳を深く傷つけることとなりましたが、生活扶助費の削減はそのことに追い打ちをかけることとなります。また、来年度から予定されている消費税率の引き上げは、社会保障の財源確保を理由としておきながら、保護受給者の消費可能額をさらに減らすこととなり、深刻な矛盾を生み出すこととなります。

 問題の所在は、国が定めた最低生活基準以下の生活を強いられている国民が多く存在していることであり、健康で文化的な最低限度の生活を営む国民の権利が保障されていないことを強く訴えます。

(*)全世帯を所得階級別に10等分したうち一番低い層の世帯。生活保護基準以下の世帯が多く含まれる。
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表題 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正に関する要望書
日付 2013年1月23日
発翰番号 JAPSW発第12-263号
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
提出先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課長 重藤 和弘 様

 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて貴省においては、2012年6月の「新たな地域精神保健医療の構築に向けた検討チーム第3ラウンド」(以下、「検討チーム」という。)においてまとめられた保護者制度・入院制度に関する報告書を受けて、現在精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)の一部改正案の作成に取り組まれていると認識しております。

 検討チーム報告書では、基本的に保護者制度を廃止し、現行の医療保護入院制度から保護者の同意を要件としない入院制度に変更することを前提に意見の取りまとめが行われています。本協会は、精神障害者の権利擁護と社会的復権を推進する立場から、精神保健福祉法の改正にあたっては、任意入院を原則とする理念を貫き、非自発的入院はあくまでも限定的な入院形態であるとの前提に立って、下記のとおり要望いたしますので、ご高配のほど何卒よろしくお願いいたします。


1.非自発的入院における医療的保護の必要性の判断基準から社会的要因を排除してください

 現行法の医療保護入院では、わずかに「任意入院が行われる状態にない」ことが入院の判定基準として示されているにすぎません。医療保護入院に代わる非自発的入院制度では、明確な基準の下に入院の必要性を判定することを法文上規定すべきであり、その基準は社会的要因を排除したものとすべきです。

2.非自発的入院には公的責任として行政機関が必ず関与することを明記してください

 非自発的入院は、本人の意思によらないまま一定の行動制限が可能であり、閉鎖的な空間の中で人権侵害が起こりうる可能性を否定できません。入院の是非や入院の継続、隔離・身体拘束の必要性などについて行政機関によるチェック機能の強化が求められます。また入院を長期化させないために行政機関の責任とかかわりの下、地域の支援体制を強化し、受け入れる体制を整備する必要があります。そのためには、精神保健福祉法第47条に保健所を中心に市町村、相談支援事業所等の地域支援者が連携し、早期退院に向けた地域支援体制を構築することを明記するべきです。

3.精神医療審査会の委員として、精神保健福祉士を合議体に入れてください

 非自発的入院となった場合でも出来得る限り早期の退院をめざすためには、精神医療審査会の機能強化が欠かせません。そのためには、審査会の委員として「精神障害者の福祉に関し学識経験を有する者」を法文上明確に規定する必要があります。その委員には権利擁護の視点と生活支援やケアマネジメントの視点を基盤とする精神保健福祉士が適任であると考えます。精神医療審査会の委員として一定の力量と経験を有する精神保健福祉士を合議体に入れていただくことを要望いたします。

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表題 社会保障政策に係る各政党の政権公約に関する見解
日付 2012年12月10日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

  現在、衆議院総選挙に向けて各政党から政権公約が公表されている。本協会は、精神保健福祉の専門職団体の立場から、この間の生活保護をはじめとする社会保障制度を巡る政策動向に注目し見解を公表し、要望を行ってきた。

 社会保障政策に係る政権公約に着目すると、いくつかの政党において本協会としては看過できない事項が含まれているため、本協会としての見解をここに表明する。

1.社会保障制度における「自助」「自立」を第一とする考え方について

 社会保障制度は、日本国憲法が掲げる基本的人権を具体的に保障するための制度であり、国家の責任、すなわち「公助」として等しく国民に提供されなければならない。

 たとえば、社会保障・財政に関して「『自助』、『自立』を第一に、『共助』、『公助』を組み合わせ、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を目指す」として自助や自立を優先する公約は、社会保障の圧倒的な後退を意味するものであり、障害者や生活困窮者など社会的弱者の排除にもつながる問題である。社会保障制度は、憲法に規定された生存権保障における国家責任を果たすべく、『公助』を第一に考えるべきである。

2.生活保護制度の見直しに係る考え方について

 多くの政党では、生活保護制度の見直しを掲げているが、特に生活保護の給付水準引き下げや、給付の有期制導入の検討を掲げることは、最低限度の生活保障よりも財政目的の引き締め政策であると考えられる。本協会は、保護基準の引き下げが、国民の生活水準の低下を招くことにほかならないという危機意識を有しており、むしろ、最低生活基準以下の生活を余儀なくされている人びとに対する社会保障制度のありようを、生活保護制度の課題として見直すことが必要であると考える。

 また、ケースワーカーの民間委託や成功報酬制の導入検討は、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する国の責任の放棄ともいえ、現在も指摘されている漏給の存在に対する認識不足のまま、生活保護の保護抑制政策を推進する姿勢には反対である。

3.障害者政策に係る公約について

 前回の衆議院総選挙の際には障害者政策が争点の一つとされていたが、今回の各政党の政権公約では、具体的な政策を掲げている政党が少ない。

 少なくとも、障害者権利条約の批准の条件の一つと考えられる「障害を理由とする差別の禁止に関する法律」の制定を掲げるよう要望するとともに、未だに社会的入院を余儀なくされている精神障害者への地域移行支援の推進及び地域生活支援体制構築のための、具体的な障害者施策の検討を強く求めたい。

以上
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表題 生活困窮者および生活保護受給者への支援について(見解)
日付 2012年11月22日
発翰番号 JAPSW発第12-216号
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
提出先 社会保障審議会 生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会 部会長 宮本 太郎 様

 現在、貴特別部会において、生活困窮者および生活保護受給者支援に関して精力的に議論検討されていることに敬意を表します。「生活支援戦略」については、近く取りまとめの時期を迎えられていますが、制度改革の具体的内容については未定部分も多く、今後の議論によるものと思われます。

 本協会は、精神障害者の権利擁護と社会的復権、および国民の精神保健福祉の向上に携わる専門職能団体としての立場から、生活保護基準の引き下げへの強い危惧と反対表明(別添)に加え、生活困窮者および生活保護受給者への支援に関して、下記の通り、見解を表明いたします。
はじめに
 「生活支援戦略」は、日本再生戦略における重点施策の位置付けにあり、日本再生戦略や「生活支援戦略中間まとめ」に記されているように、基本理念は、生活保護の切り捨てや抑制ではなく、国民一人一人が参加と自立を基本とし、社会的に包摂される社会の実現を目指すことにあります。また、官民協働を謳う支援は公的責任の後退につながるものであってはならないと認識しております。

 以下の見解は、この基本理念が新たな生活困窮者支援体系と生活保護制度の見直しのいずれにも通低しているとの認識に立って示すものです。

1.「生活保護制度の見直しに関する論点」について
1)生活保護制度に関する正確な情報と周知が必要です
 逼迫する財政事情を背景として、マスメディアを中心に、給付抑制論を高める世論形成がされつつあります。しかし、生活保護制度について、どの程度の国民が正しく理解しているのか、甚だ疑問に感じます。

 まずは、生活保護制度に関する正確な知識やデータを国民に周知し、活用しやすく、活用により生活再建がしやすく、かつ脱却しやすい制度にしていくべきです。受給相談に対する水際作戦等による受給抑制の結果、死亡事件にすら至っている事例もある中、生命と生活を守るための制度が国民的な理解を得るための方策を真剣に議論し、取り組むべきと考えます。利用しやすいセーフティネットは、自殺予防にもつながる筈です。現在の厳しい経済情勢にあって、少なくとも210万人が生活保護制度により生活が可能となっている現実を直視すべきです。

2)福祉事務所の加重負担に関する正しい現状認識と専門職の配置を求めます
 福祉事務所の現業員(ケースワーカー)は、生活保護受給者に対する金銭給付事務に加えて、相談援助の提供というケースワーク業務の役割を有しています。しかし、近年、ケースワーク機能が十分に果たされていない現状にあるとも言えます。ケースワーク業務に関する過重負担は、生活保護受給者の量的増加が背景要因と言われていますが、実際には専門性の不足という要因が大きいと考えられます。受給者数増に加え、その援助課題の深刻化、複合化に対応できるためには福祉事務所における社会福祉主事の任用を改め、社会福祉専門職の採用と任用を求めます。

3)医療扶助の「適正化」は抑制や排除の施策ではなく退院支援施策の充実を求めます
  医療扶助の適正化議論は、増大する医療扶助費と、不正受給の発覚などに端を発していると認識しますが、適性化という名の抑制でしかなく、個々の提案事項には認めがたいものが多くあります。言うまでもなく、最低限度の生活保障は、健康を守ることが何よりも優先されなければなりません。

 医療・福祉・介護等が選択と契約の時代になった今、生活保護制度においても受給者の人権や権利、主体性を重んじる支援の在り方について検討されるべき時期ではないかと考えます。医療扶助等の適正化議論の背景にある濫給や不正受給等への対応の矛先は、受給者個人の選択の自由を制限することではなく、適正な医療扶助を行える仕組みにこそ向けられるべきと考えます。

 また、セカンド・オピニオン(検診命令)の活用に関し、「長期にわたり医療扶助を受給している場合には、当該受給者の疾病の状況、稼働能力等を確認するため、原則として定期的に他の医療機関等の検診を受けることとする」とあります。精神障害者は、特に長期に医療扶助を必要とする場合が多いため対象となると考えられますが、特に長期入院者については、社会的入院となっていないかという観点から、必要に応じてセンカンド・オピニオンを活用することが望ましいと考えます。

 医療扶助の適正化については、なによりも退院支援施策の充実強化を図るべきことを強く求めるものです。生活保護費の約半分を占める医療扶助費のうち約4分の1が精神科の入院医療費であることを考えれば、退院支援による医療費削減効果は高いものがあります。実際、生活保護受給者の多くは身寄りがなく、医療費支払いが確実であることも、長期在院傾向を強めています。

 現行の生活保護制度の自立支援プログラムには、日常生活自立の中に生活保護受給者退院促進支援事業があります。この事業の実施自治体は平成22年度で100か所程度ですが、全国的な支援員の配置状況や退院者数等の事業効果も把握されてない実情があります。一方、退院促進支援事業を実施している自治体(人口規模約17万人)では、平成19年度から平成22年度までの4年の取り組みにより、約1億6,200万円の医療費削減効果が上がり、その費用で支援者を増員し、長期入院者の退院支援に当たっている事例があります。このように、抑制ではなく適切な支援策を講じることが、長期的には受給者の自立や医療費削減にも通じていく筈です。

4)就労・自立支援は個別状況に応じた丁寧なかかわりが必要です
 厚生労働省が第8回特別部会に提出した「生活支援戦略に関する主な論点(案)」には、「保護開始直後から脱却後まで、稼働可能な者については切れ目なく、またどの段階でも就労・自立支援とインセンティブを強化することとし」とあります。3か月や6か月などと期間を区切り就労というゴールを目指した就労支援、就職活動の強制は、伴走型や寄り添い型の支援の目的に掲げる、本人の主体性や自己決定権を尊重醸成する支援とは矛盾するものです。また、保護受給の原因が傷病や疾病によらない場合でも、受給者は生活上の課題を抱えていることが多く、生活維持や主体的な生活を可能とする丁寧な支援がまずは優先されなければなりません。

 現状においても、精神障害による保護受給者に対する一般就労に向けた強烈な指導によって病状悪化や再燃に至る事例があります。受給者にとって真の自立支援となるような就労支援等の在り方は、個別の丁寧な生活支援と共になされる必要が多くあり、受給者個々の状態や状況の把握の上に検討されるべきです。

2.「新たな生活困窮者支援体系に関する論点」について
1)総合相談支援センターの機能の明確化が必要です
 包括的な総合相談支援体制を構築し、初期段階から「包括的」かつ「伴走型」の支援を提供することは、経済的困窮者・社会的孤立者の支援として効果的であると考えます。現行においても福祉事務所は、その相談機能を有していますが、今後は総合相談支援センターと福祉事務所の連携が欠かせないことから、福祉事務所の機能に関する充実強化も必要と考えます。その上で両者における対象者や支援内容、法的権限等、官民の役割分担について整理し、総合相談支援センターにも一定の権限付与がなされるべきと考えます。

2)総合相談支援センターにはソーシャルワーク専門職の配置が必要です
 総合相談支援センター機能として、新たに「伴走型」や「寄り添い型」の支援を提供することで、対象者の自立と参加を促進し、包摂的な社会の形成を促進するためには、個別支援に加えネットワークづくりや資源創設などの専門性を有する人材が欠かせません。相談対象者には、疾病や障害があっても必要な治療やサービスを受けられていない人も含まれ、メンタルヘルスケアが必要な人も少なくないと考えられます。そのため、総合相談支援センターにはソーシャルワーク専門職である精神保健福祉士等の配置(任用)が必要と考えます。

3)就労支援には多様な選択肢と一般企業の理解促進が欠かせません
 就労体験は個人にとっての権利保障や尊厳の維持、社会的孤立防止の観点から非常に重要ですが、生活困窮に陥っている人の様々な状況に鑑みて、多様な選択肢を用意する必要があります。

 加えて、就労先確保の促進には、障害者雇用等で一般企業が工夫や努力をして場や機会が増えつつあるように、一般企業の関心と取り組み参加が欠かせません。社会経済の活性化のための長期的視点に立ち、取り組み参加企業が増えるような周知と仕組みが必要と考えます。

4)居住資源の整備が喫緊の重点課題です
 生活保護受給者を含む生活困窮者の多くは、保証人の確保が困難なことから、利用できる居住資源が限定される状況にあります。居住資源の拡充と利用要件の緩和、公的保証制度等の整備が喫緊であり、関係省庁を横断して取り組むべき課題と考えます。長期入院患者の地域移行やホームレス支援には、何よりも住居の確保が優先されます。高齢者や障害者施策としての居住支援協議会の活動を通じた支援の対象を拡大していくことも有効と考えます。同時に、貧困ビジネスを規制する法的措置も必要です。また、居住資源整備の際に、コミュニティづくりの一助となり社会的孤立防止につながる居場所や交流の場の整備も求められます。

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表題 障害を理由とする差別を禁止する法制に関する意見
日付 2012年11月5日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先 内閣府障害者施策担当

  社団法人日本精神保健福祉士協会は、精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的な活動を進める立場から、以下の通り意見を申しあげる。

 まずは、差別禁止部会における1年10か月に及ぶ真摯な議論と意見取りまとめの労苦に対して心からの敬意を申しあげる。

 「障害を理由とする差別を禁止する法制」は、すべての障害者とその関係者が待ち望んできた制度であり、本協会はいかなる政治状況にあっても、差別禁止部会の意見(以下、「部会意見」)を反映した法制化の実現を強く望むものである。

 部会意見では、各則として特に重要な10分野を取り上げ、法が対象とする差別の範囲や具体的な内容が示されている。法制化にあたってはその施行までに各分野に関係する国民、国の機関、自治体、事業者等への十分な周知が欠かせない。

 我々精神保健福祉士と特に関係が深い「医療分野」について、部会意見では、「医療分野で禁止が求められる不均等待遇」として、(1)医療の提供を拒むこと、医療の提供に当たって条件を付すこと、(2)一般に提供されるインフォームド・コンセントなしに医療を提供すること、(3)在宅医療の提供等、地域で生活しながら医療が受けられるための合理的配慮を提供することなしに、入院を強制すること、の3点を提示している。これらの指摘は当然ながら、精神科医療機関にも適用されるべき事項であることを確認する。また、これらの事項の実現のためには、精神科医療における非自発的入院においても、入院中の個々の医療行為が強制されないための審査機関の設置と多職種で構成されるマンパワーの充実強化が必要であり、加えて合理的配慮としての身近な地域における福祉的支援の保障や、入院中心から地域生活中心の精神保健医療体制への大胆な転換が必要である。
以上
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表題 生活保護基準の引き下げの見直しについて(要望)
日付 2012年11月1日
発翰番号 JAPSW発第12-202号
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
提出先 厚生労働大臣 三井 辨雄 様

  平素より、我が国の精神保健医療福祉に関する諸制度施策の発展充実にご尽力をいただいておりますことに敬意を表します。また、本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて、貴省においては、来年度から生活保護基準の引き下げが検討されているところですが、本協会としましては、社会福祉学に学問的基盤を置く専門職団体として、生存権保障の根幹を揺るがすような生活保護基準の引き下げには「断固反対」の立場をとらせていただきます。

 つきましては、小職声明「生活保護基準の引き下げに断固反対する―国民の健康で文化的な最低限度の生活保障の堅持を!―」(別紙)を踏まえた生活保護基準の引き下げの見直しについて、強く要望いたします。

[別紙]会長声明「生活保護基準の引き下げに断固反対する―国民の健康で文化的な最低限度の生活保障の堅持を!―」
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標題 生活保護基準の引き下げに断固反対する―国民の健康で文化的な最低限度の生活保障の堅持を!―
日付 2012年10月31日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

 本協会は、社会福祉学に学問的基盤を置く専門職団体として、生存権保障の根幹を揺るがすような生活保護基準の引き下げに断固反対の立場をとるものである。

 2012年9月20日の日本弁護士連合会会長による反対声明の主旨(生活保護基準が国民の生存権保障に与える影響の大きさへの認識、当事者の声をも聴取し純学術的観点からの慎重な検討の必要性への認識、漏給層が大量に存在する現状の認識)に賛同したうえで、精神障害者の社会的復権・権利擁護と精神保健福祉の向上のための活動を行う専門職団体の立場から、生活保護基準の引下げに反対する理由を以下に述べる。

1.生活保護と精神障害者支援の関連から

 我が国の精神障害者は、国策としての隔離収容主義の弊害である差別と偏見を受け続けた長い歴史を有し、今なお社会的入院の状態に置かれている人々も少なくない。また、長く医療の対象であって福祉の対象とされてこなかった歴史的背景もあり、他障害に比べて雇用の保障も立ち遅れている。年金や医療などの社会保険や福祉サービスも十分とはいえない状況下で、精神障害者の生活支援施策として、生活保護が唯一の社会保障制度となることも稀ではない。

 よって我々は、この基準の引き下げが、最後のセーフティネットから漏れる精神障害者を増やすことに直結するという危惧を抱かざるを得ない。その見直しには、「財政目的の削減ありき」ではない検討や、生存権保障の理念に則った現状の認識に基づく慎重な検討を求める。

2.精神科医療の利用者への支援の観点から

 地域生活を送る精神障害者には、精神科医療の活用により病状の緩和軽減を保つことで生活の安定を図っている人が少なくない。こうした人々にとって、継続的に外来やデイケアに通院通所すること、訪問看護等のアウトリーチ支援を受けることは、常に経済的負担を伴うものである。保護基準が引き下げられることにより、生活保護を受給することができず、しかも経済困窮のために切り詰めた生活を余儀なくされ、医療の利用を控え諦める人が増すことも想定される。

 また、失業率と並行するといわれる自殺の問題に関しては、年間約3万人の自殺者が存在する状況が継続し、2010年の統計ではその原因・動機が特定できる者において、経済・生活問題は31.6%、精神的な健康問題は42.6%にも上る(警察庁調べ)。保護基準の引き下げによって生活困窮者を増やし、適切な精神科医療の利用を阻むことは、我が国が直面する自殺予防の問題をより深刻化させる危険性が高い。

 このように、生活保護基準の引き下げは、利用者の精神的健康の保持増進を脅かす問題であり、我々は日常的にその受診受療を支援する立場から大きな危機感を抱くものである。保護基準引き下げによって、医療が受けられなくなる人が出ないよう生存権保障の理念に立ち返った慎重な見直しを求めたい。

3.精神障害者の退院促進の観点から

 厚生労働省が精神科病院に長期在院している退院可能な患者の地域移行支援に着手して既に10年が経過した。しかし、長期入院者が退院に至る過程においては多様な支援策を必要とし、順調に退院促進が実現しているとは言い難い現状もある。

 一方、これらの退院可能な患者の約2割が生活保護受給者であり、その人々に対する退院促進の取り組みは生活保護制度下でも推進されている。退院促進にはいくつかの方策が講じられているとはいえ、今後、生活保護基準の引き下げにより、この支援を活用する機会を逸する人が増すとすれば、退院促進という国の方向性に逆行するともいえる。このような事態は避けなければならないことから、保護基準の見直しにあたっては、派生する弊害までを見据えた慎重な検討を求めたい。

4.最後のセーフティネットの堅持を求める立場から

 生活保護受給者の中には、その必要がありながら未だ精神科治療や保健福祉サービスの利用に至らず、他の社会資源とのつながりを持たない人々が存在する。生活保護ケースワーカーは最後のセーフティネットとして、これらの人々を医療・福祉の各関係機関につなぐ地道な働きをしているが、保護基準の引き下げに伴って生活保護ケースワーカーの援助さえ受けられなくなる未治療・未受診者が増すことも予測される。これは、換言すれば生存権保障のための援助の手が届かない人々を増やすことであり、国民の生命と生活を脅かす事態といえる。


 本協会は、特に精神障害者への支援を生業とする専門職団体として、厚生労働大臣に対してもこのような危機感を共有したうえでの基準見直しを行うよう要望し、現段階における生活保護基準の引き下げには断固反対する。

 なお、我々は、精神保健福祉領域におけるソーシャルワーカーとして、生活保護ケースワーカーとも連携協働しつつ、精神障害を持ちながら生活する人々の自己実現に向けた支援(広義の自立助長)を日々実践しており、引き続き生活保護の動向も見据えつつ各現場にあって誠実に職務遂行することを併せて表明する。
以上
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標題 新たな入院制度に関する本協会の見解
日付 2012年10月29日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

 障害者権利条約の批准に向けて国内法が整備される中で、障がい者制度改革推進会議での議論も踏まえ、厚労省内に設置された検討会では精神保健福祉法の改正による保護者制度の廃止と、その際の強制入院のあり様について基本的な考え方が示された。これは、精神病者監護法施行以来110年にわたる日本の精神保健福祉体制の大きな転換と言われている。これに関しては社会防衛を優先し、隔離収容施策を民間に依存しながら貫いてきた国策への反省の上に立つものと受け止め、真に精神障害者の社会的復権を成し遂げるという活動方針を掲げている本協会も肯定的に評価したい。

 今後も法改正に向けて詳細の検討が継続されることから、ここで本協会としての見解を改めて掲げておきたい。見解の中では、現状に照らして実現可能な制度設計を提案するのではなく、精神保健福祉士として「あるべき方向性」を示す提言も含まれている。これについては今後その実現に向けて我々精神保健福祉士が何をなすべきか具体的な提案が必要となってくるだろう。

 構成員各位には各々の現場で協議を展開し、積極的なご意見をお寄せいただきたい。

1.保護者制度の廃止について

 保護者制度は精神病者監護法の流れを汲み、家族(三親等以内の親族)に、患者の意思に反する「監禁と保護」の責任の一端を負わせる一方、患者の治療や社会復帰への協力を含む権利擁護機能も持たせようとしたものであり、長年月に渡り家族に矛盾した役割を課していた点は早急に改められるべきである。

○本制度の廃止には全面的に賛同する。

○保護者に代わる同意者の機能を精神保健福祉士は担ってはならない。

2.医療保護に変わる新たな「非自発的入院」形態の創設について

 本協会が掲げる精神障害者の自己決定の原則に照らせば、本人の同意なく患者を強制入院させる仕組みについては反対の立場であることは言うまでもない。
しかし厳密な精神医学的診断の結果、入院という形態でなければ治療困難で、患者本人の同意がどうしても得られない病状にある場合には、非自発的入院以外の選択肢がないであろうことは十分に想定される。そこで、本人の同意なく患者を強制入院させる新たな仕組みを創設する場合には、障害者権利条約、国際人権B規約、精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスの改善のための諸原則を遵守し、患者の権利擁護を第一義とする仕組みを整備しなければならない。なお非自発的入院には、社会状況や生活環境の不備を理由とする保護的な要素は含まないことを前提とする。「医療と保護」における保護の拡大解釈が社会的入院を助長してきたことを忘れてはならない。保護は医療ではなく福祉その他の手立てによってまかなわれるべきである。

○非自発的入院を必要とする者は、「保護」ではなく強制的にでも医療提供が必要と医学的に診断される者に限定することを求める。

○精神保健福祉士は、非自発的入院の医学的診断場面の要否判断には加わらないことを確認する。

○強制入院の判断には複数の医師による診察を求めるものとし、その要否を診断する指定医に対しては研修制度の強化を求める。

○入院の是非については行政もしくは司法による審査機能を強化する仕組みを求める。

3.新たな仕組みでの強制入院患者の権利擁護について

 閉鎖的な環境に強制的に入院させられた患者に対する医療機関による不当入院等の権利侵害を防ぐため、特に入院決定及び入院継続に際しては権利擁護の観点からの新たな仕組みが導入される必要があると考える。

<医療機関の責任・義務>
○非自発的入院の決定と同時に、退院支援・生活支援の観点からその医療機関の精神保健福祉士が必ず関与するシステムとすること

○出来うる限り早期の退院を目指し、最善の治療努力をすること

○当事者を含む第三者委員を構成員に含む院内権利擁護委員会設置を義務化すること

<精神医療審査会の機能強化による監視体制の厳格化>
○入院から短期間の内に審査会を開催し、入院の是非を判断する。3ヵ月以上の入院の長期化に対しては報告書の提出や必要に応じて意見聴取などを義務付けること

○医療機関において退院請求・処遇改善請求システムが正常に機能しているかどうかを評価すること

○審査会の構成メンバーに精神保健福祉士を必置とすること

<代弁者制度の創設>
○新たな強制入院の決定と同時に、患者の権利擁護の担い手の一部として院外から患者が指定する代弁者を選定する仕組みの創設を求める。

○患者の判断能力等により代弁者の選定が困難な場合を想定し、当該患者が不利益を受けないよう代弁者制度と同等の権利擁護制度の仕組みを合わせて創設することを求める。

 なお、ここに記した精神保健福祉士は、所定の研修を修了した者であることを要件とする必要があると考える。
以上
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標題 自殺総合対策の見直し素案に対する意見
日付 2012年8月17日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先 内閣府自殺対策推進室

第2 自殺総合対策の基本的考え方
1.社会的要因も踏まえ総合的に取り組む
[意見]
<自殺や精神疾患に対する偏見をなくす取組>に関して
「自殺」という用語そのものが「不名誉で恥ずかしいものである」という間違った社会通念を引き起こしている側面があることから、行政用語として「自死」を採用するなどの見直しが必要である。

2.国民一人ひとりが自殺予防の主役となるよう取り組む
[意見]
自殺対策大綱見直し素案には、自殺を図った人の直前の心の健康状態との関係から、精神科医療に関する記載が多くあるが、社会全体に精神疾患にたいする偏見を減らし、また、国民が心の健康問題の重要性を認識して、心の不調に気付くことができるようにするためには、今般の都道府県医療計画策定による精神科医療の整備および充実強化の推進が欠かせない。あわせて、自殺対策基本法とは別に、こころの健康の維持推進に関して、省庁を横断して予算措置を伴い施策や人員等の体制を整備することが可能となるように「こころの健康推進基本法」(仮称)のような法制度の検討が必要と考える。

4.関係者の連携による包括的支援を強化する
[意見]
都道府県・政令指定都市における自殺対策担当部署の多くは保健福祉関係部局に置かれている。このうち自殺対策に特化した担当係等を設置しているのは、わずかに秋田県(調整・自殺対策班)、堺市(いのちの応援係)、宮崎県(精神保健・自殺対策担当)等に限定されている。今後は地方公共団体に専従の自殺対策担当者が配置され、その担当者が部局を超えて組織横断的な機能を担えるように一定の権限が付与される必要がある。

7.政策対象となる集団毎の実態を踏まえた対策を推進する
[意見]
自殺未遂者の支援体制に関連して、救命救急センターに精神保健福祉士を配置することの有用性は、先行研究や先行事例において明らかであり、積極的に進める必要がある。また、精神科病院等において精神保健福祉士等が、自殺未遂者への心理・社会的アセスメントと支援、関係機関連携などを行う場合の診療報酬等を設置し、支援の充実を図る必要がある。


第3 自殺を予防するための当面の重点施策
3.早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する
[意見]
「(6)連携調整を担う人材の養成の充実」に関して
関係者間の連係調整を担う人材としては、精神保健福祉士が最もふさわしいと考える。
[意見]
「(2)教職員に対する普及啓発等の実施」に関して
教職員自身のうつ病等の精神疾患による休職、退職なども多い現状から、教職員の養成課程や採用後の研修に、精神保健に関する科目を必須とする必要がある。

4.心の健康づくりを進める
[意見]
「(3)学校における心の健康づくり推進体制の整備」に関して
「スクールカウンセラー等の配置」には、当然ながらこどもを取り巻く環境の調整や支援ネットワーク構築を業務とするスクールソーシャルワーカーも含まれると考えるが、これらの支援専門職がその力量を発揮するためには、配置促進だけではなく、常勤雇用化等の労働環境の整備も欠かせない。

5.適切な精神科医療を受けられるようにする
[意見]
「(1)精神科医療を担う人材の養成など精神科医療体制の充実」と「(6)うつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策の推進」に関連して
入院・通院を問わず自殺の高い危険因子を有する患者(以下、「自殺ハイリスク患者」という)に対して、医師等による継続的かつ適切な医療の提供と、失業、倒産、多重債務、長時間労働等の社会的な要因を含む危険因子に対する精神保健福祉士等による適切な支援の提供する等の精神科医療機関における取組みが診療報酬として評価されることで、自殺ハイリスク患者の自殺予防及び自殺による社会的損失の軽減に貢献すると考える。

6.社会的な取組で自殺を防ぐ
[意見]
「(3)失業者等に対する相談窓口の充実等」に関して
すでにハローワークに配置されている精神障害者雇用トータルサポーターの機能強化(常勤採用等)を伴う積極的な活用が有効である。

「自殺総合対策大綱」の見直し素案(PDF形式:257KB)
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表題 精神障害者地域移行・地域定着支援事業の継続に係る要望等について(お願い)
日付 2012年8月17日
発翰番号 JAPSW発第12-146号
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
提出先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部長 岡田 太造 様

  時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 平素より、わが国の精神保健医療福祉に関する諸制度施策の発展充実にご尽力をいただいておりますことに敬意を表します。また、本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて、貴省におかれましては、「精神保健福祉施策の改革ビジョン」で掲げた「入院医療中心から地域生活中心へ」の理念に基づき、2006年度より精神障害者退院促進支援事業を実施してこられました。今年度には地域移行・地域定着支援が相談支援事業の一類型である地域相談支援として個別給付化されましたが、地域相談支援を補完する形で補助事業である精神障害者地域移行・地域定着支援事業(以下「本事業」という。)は継続されております。

 これまでの本事業の取り組みにより、地域の資源や支援体制が徐々に整備され、精神科医療機関のみで社会的入院に至っている長期在院者の退院支援を行うことの限界を超え、自立支援協議会等を活用して地域全体で地域移行支援への取り組みがようやく推進され始めてきたところです。

 個別給付化された地域移行・地域定着支援の本格的な推進には、制度移行に関する十分な周知と支援実施体制が求められるところ、本格的な取り組みを前に、本事業が2012年6月14日の貴省における行政事業レビューの対象となり、「抜本的改善が必要」とされました。このため、地域移行・地域定着支援に携わる多くの関係者は、本事業の行方について大変な困惑と危惧を抱いております。

 つきましては、下記の通り、要望と意見を申しあげますので、ご高配のほどお願い申しあげます。

【要 望】
 補助事業である「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」を継続してください。

 地域相談支援が十分に機能するために、以下の3点の体制が整う必要があります。
 1)すべての入院患者に地域相談支援の情報が確実に届けられること。
 2)病院に地域の支援者が定期的に入ること。
 3)市町村や指定一般相談支援事業者が病院と連携して、精神障害者への地域移行支援を行えるようになること。
 このため時限的措置として、都道府県や政令指定都市が本事業(地域体制整備コーディネーターを配置し、自立支援協議会における地域移行支援・定着支援に関する部会等を設置し、ピアサポーターの活用を推進すること)を継続する必要があります。

【理 由】
1.すべての入院患者が、希望すれば地域相談支援を利用する権利があることを、精神科病院と入院患者に周知するために、その役割を担う地域体制整備コーディネーターが必要です。

○精神障害者の地域移行支援・定着支援が促進されるためには、入院中の精神障害者が自分の望む暮らし方について相談できる一般相談支援や計画相談支援を活用し、サービス利用計画のもと、地域相談支援を利用できる必要があります。そのためには、相談支援に関する制度や利用の仕組みに関する情報が、すべての入院患者に届けられる必要がありますが、現状ではその仕組みと実施責任の所在が明確ではありません。


2.地域移行支援・定着支援を促進するためには、地域内のあらゆる機関や制度間の物的・人的連携および調整が欠かせず、その役割を担う者として地域体制整備コーディネーターが必要です。

○わが国において社会的入院が長く解決せずに現状に至っている歴史から、医療機関内の取り組みだけでは困難かつ限界や制約を抱えることは明らかです。地域の側から、街の暮らしや支援に関する情報を入院患者はじめ医療機関従事者に届け、患者の退院及び地域生活への意欲を喚起することや、交流や体験の機会を提供していくことが必要です。現状を乗り越えるためには、地域内の総合的な支援環境整備が喫緊の課題ですが、各種制度や機関が縦割りであることの現状と弊害等に対しては、地域移行推進員など個別支援の人員配置のみでは解決に至りません。

○貴部精神・障害保健課調べ2010年度実績によれば、地域体制整備コーディネーターの活動内容において、連携や調整は、精神科病院・関連施設との間で21%、地域生活野関連機関間で15%、行政機関との間で15%とあり、全活動の52%が連携や調整に充てられています。

○一方、行政事業レビューでは、地域体制整備コーディネーター配置と退院者数との相関関係から事業効果が不明確とのことでした。しかし、地域体制整備コーディネーターの役割は、病院への働きかけ、市町村への支援、事業所への支援、圏域をまたがるケースへの調整、ピアサポート活動の推進、圏域課題の解決への助言や人材育成に関する研修企画等となっております。ついては、働きかけ対象の取り組み姿勢や意識、仕組みなどの変化、取り組み活動実態などを指標とした効果測定をすべきです。退院者数を中心に検証することは妥当性に疑問があります。
 量的効果以上に、当面は、活動内容の質的効果の蓄積の推移を見守り、当該効果の生じている地域事例等を普及する期間や方法を持つべきと考えます。未だ、全国的に事業普及がなされていない現状の分析と、検証の適切な方法や期間の設定がむしろ必要です。


3.どの地域においても質の高い地域相談支援のサービスが受けられるようになるまで、国の責任に基づき都道府県等が配置する地域体制整備コーディネーターによる指定一般相談支援事業所への助言指導が不可欠です。

○医療機関の自助努力によっても退院に至らない実態には、様々な困難な要因が存在します。一方、指定一般相談支援事業所の量的質的整備は不足しているのが現状です。入院患者の意欲喚起をはじめ、円滑な地域相談支援が医療機関と諸機関の連携のもとで実施されるためには、当面、地域体制整備コーディネーターの助言が必要です。
貴部精神・障害保健課調べ2010年度実績によれば、地域移行推進への助言指導が24%、研修・シンポジウムなどの企画調整等、人材育成や普及啓発活動が30%強となっています。


4.立ち遅れた精神障害者支援施策の充実強化の観点から、精神障害者地域移行・地域定着支援事業は、廃止や縮小の方向での見直しではなく、むしろ拡充すべきものです。
○本年6月に障害者総合支援法案を審議した衆・参両議院厚生労働委員会において、「精神障害者の地域生活を支えるため、住まいの場の整備、医療、福祉を包括したサービスの在り方、精神障害者やその家族が行う相談の在り方等の支援施策について、早急に検討を行うこと」との付帯決議が採択されました。さらに、成立した障害者総合支援法の附則第3条には、検討規定として「全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害者等の支援に係る施策を段階的に講ずるため、この法律の施行後三年を目途として、第一条の規定の改正後の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第一条の二に規定する基本理念を勘案し、(中略)精神障害者および高齢の障害者に対する支援の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所用の措置を講ずるものとする。」とされました。
つまり、精神障害者に対する支援は未だ不十分極まりない状況にあります。


【意 見】
 各都道府県・政令指定都市において、精神保健医療福祉施策を推進していくための、施策横断的な官民協働チームを設置し機能させることが必要と考えます。

【理 由】
 立ち遅れた精神障害者の地域生活支援の推進を図るためには、住宅・医療・介護・福祉・雇用・教育など、精神障害者が利用する多領域の支援に関する法制度諸施策間の連携調整、整備拡充が不可欠です。ニーズ把握と具体的な支援策を、障害福祉計画、医療計画、介護保険事業計画、生活保護制度施策などと連動し総合的に反映整備する必要があります。
 しかし、多くの都道府県において、縦割り制度、縦割りの所管の弊害から、精神障害者の地域生活支援は断片的に行われており、支援体制や財政面において効率的ではなく、必ずしも地域生活支援の力を育む結果に結びつかない現状は深刻な課題です。
 都道府県自立支援協議会に地域移行に関する部会を設置することはもちろん、さらには、その地域移行部会で検討された課題が、各種計画策定に反映できるような仕組みが早急に必要です。
 すでに、各都道府県には、障害者基本法に基づく「地方障害者施策推進協議会」と精神保健福祉法に基づき条例にて置くことができる「地方精神保健福祉審議会」があります。このような既存の仕組みを有効に活用することと合わせ、サービスを利用する当事者および支援提供者が現場で把握するリアルなニーズを材料に議論検討できる作業チームを設け、審議体との位置付けを縦横に整理し組み立て有機的に機能させることが求められます。
 個別の制度や施策を民間機関や事業者等に任せるだけでは、精神保健医療福祉施策の立ち遅れを打破し総合的な推進を図ることは厳しいと考えます。
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標題 「『生活支援戦略』中間まとめ」に関する意見
日付 2012年8月6日
発信者 社団法人日本社会福祉士会 会長 山村 睦
社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 佐原 まち子
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本 民夫
社団法人日本社会福祉士養成校協会 会長 長谷川 匡俊
一般社団法人日本精神保健福祉士養成校協会 会長 石川 到覚
社団法人日本社会福祉教育学校連盟 会長 野村 豊子
提出先 厚生労働省 社会・援護局 局長 山崎 史郎 殿

 貴職におかれましては、日々社会福祉の増進にご尽力されていることに敬意を表します。

 このたび、厚生労働省において取りまとめられた「『生活支援戦略』中間まとめ」が公表され、生活困窮者への支援戦略として基本的な方針と改革の方向性が示されました。

 中間まとめでは「参加と自立」を基本に社会的包摂を進め、生活困窮者が経済的困窮と社会的孤立から脱却する諸方策が示されました。生活貧困者への支援は喫緊な課題であり、生活貧困者支援において新たな方向付けをされましたことを高く評価するものです。私たち研究・教育者および実践者の団体としても、おおいに協力する所存です。そして、諸方策が制度として整備され、実運用において効果を発揮することを期待します。

 つきましては、本中間まとめについて、生活困窮者の支援に長く関わってきた研究・教育者および実践者の立場から、下記のとおり意見を述べさせていただきます。



1.社会福祉専門職の活用について
 生活困窮者については、早期に把握し初期段階からアウトリーチを重視した総合相談を行い、アセスメント、プランの作成、チームアプローチによる支援が示されています。これら一連の支援はソーシャルワークそのものであり、これらを効果的に行うためにはソーシャルワークの専門的な知識や技術を習得している社会福祉士や精神保健福祉士の活用を図ることで、より一層、効果的な支援が実現できるものと考えます。福祉事務所であれ、NPOや社会福祉法人、消費生活協同組合、民間企業等へのアウトソーシングする場合にあっても、専門職の活用が必要であると考えます。

2.福祉事務所の自立支援機能強化について
 今回の中間まとめでは、生活保護費給付の適正化や自立支援の強化などが示されています。しかし、現在のケースワーカーは被保護者の実態や要請に応じた定期的な面接・訪問が難しい状況が固定化しています。そこでケースワーカーと連携し個別の支援計画の策定や訪問、カンファレンスなどの自立支援機能を社会福祉士や精神保健福祉士が担い手となる民間組織へアウトソーシングすることで、福祉事務所の自立支援機能を強化することができると考えます。
以上
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表題 雑誌「プレジデント」2012年7月16日号掲載の「編集長から」に抗議します
日付 2012年7月20日
発翰番号 JAPSW発第12-128号
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
提出先 株式会社プレジデント社 代表取締役社長 長坂 嘉昭 様

  本協会は、精神障害者の社会参加の促進と権利擁護を担う国家資格である精神保健福祉士を会員とする社団法人です。その立場から、雑誌「プレジデント」編集長鈴木勝彦氏の発言(「プレジデント」2012年7.16号「編集長から」(176ページ)に対して書面をもって抗議いたします。

  まず、精神障害者の採用を義務づけるということがあたかも寝耳に水のような書きぶりになっていますが、精神障害者の雇用についてはすでに先行的に雇用すべき障害者数としてカウントできることとなっており、様々な企業で雇用の実績が出ております。その実績に基づき、正式に雇用義務の対象とすることになったというのが正しい情報です。報道の内容を正確に理解されないまま、不安を煽るような引用をされているのが第一点の問題です。

  次に、DSM−Wの引用についてですが、統合失調症の急性期症状の一部だけを取り上げ、あたかもすべての統合失調症者がそうであるかのようなきわめて偏った説明に加え、人格を否定し、偏見や差別につながるからという理由で変更された精神分裂病という病名をあえて出されているのは明らかな悪意を感じます。

  さらに、統合失調症のある人を「幻覚を見て、何を言っているかわからない人」と断定されている根拠はどこにあるのでしょうか?精神疾患と精神障害についてどの程度の知識と情報をお持ちなのか、社会的に大きな影響力をお持ちの雑誌の編集長という立場を考えるとまさに「にわかには信じ難い」無知・無理解な発言としか思えません。また、障害者権利条約の批准に向けて国も国内法の整備等に取り組んでいる中、「一緒にどうやって仕事をするのでしょう」という表現にある協働どころか精神障害者を理解しようとする姿勢が微塵も感じられないスタンスには、怒りを通り越し悲哀を感じます。

  間違った情報により形成された偏見のゆえに社会参加の機会を得られず、人としての権利をも侵害されてきた歴史と今もなお厳然とある差別の実態をご存知でしょうか?それでもこのような苛酷な状況下にあって、医療支援や福祉サービス等を活用し、就労や社会参加に懸命に努力している精神障害者や、雇用というにはおこがましい低賃金で根気よく就労訓練を重ねている精神障害者はたくさん存在しています。

  こうした精神障害者一人一人の生存権や幸福追求権をも侵害しかねない鈴木勝彦氏の発言こそが、偏見を助長する間違った情報に他ならず、これに対し猛省を求めるとともに、雑誌「プレジデント」の誌上および貴社ホームページ等にて、記事の訂正と謝罪の掲載を早急に行うことを求めます。

  また、「正確でオープンな議論」を深めるため、貴誌においてぜひ障害者雇用についての特集を組んでいただくことを要望いたします。

【株式会社プレジデント社からの回答について】

 長坂代表取締役社長より柏木会長宛に2012年8月7日付にてお詫状(PDF:36.4KB)が届くとともに、株式会社プレジデント社のウェブサイト及びプレジデント(2012.9.3号)最終頁の「編集長から」に謝罪文が掲載されました。
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標題 生活保護制度を巡るこの間の動向に関する見解―国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する生活保護制度の堅持を―
日付 2012年7月2日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

 本協会は精神障害者の権利擁護と社会的復権、および国民の精神保健福祉の向上に携わる専門職能団体として、昨今の生活保護制度を巡る一連の動向に対し、以下に問題点の指摘を含め見解を表明する。

 生活保護に関しては、昨年度から社会保障審議会などで、生活保護受給者および保護費急増を背景とした制度の見直し等に係る検討が行われている。その最中で国会における議員の質疑応答に端を発し浮上した有名芸人の母親の生活保護受給に対し、当初マスコミが行った制度誤認を含む過熱報道により、生活保護制度や受給者全般に問題があるかの如き世論が形成されつつある。さらには、小宮山厚生労働大臣が議論の手続きも経ずに、扶養問題を含めた制度見直しに言及するなど、被保護・要保護者一人ひとりの尊厳を脅かし、当然として受給する権利を有する方々および現在受給している方々に深刻な影響をおよぼす事態が生じている。

 本協会はこれらのことを憂慮し、本年5月より構成員に呼びかけ、各地での生活保護に関し一連の報道等による影響に関する情報を収集中である。現段階では、自治体による明らかな引き締め策は見られないものの、被保護者の方々の中には不安の増大や、いわれのない罪悪感を覚え閉じこもりがちになる等の影響が出ていることが確認されている。今後も引き続き情報集約に努め、生活保護制度の活用や制度上の支援が必要な方々への更なる支援の充実化を求め、改めて具体的な提言等を行う予定である。

 現段階で、本協会が特に指摘したい問題点は、以下の3点である。

1.2007年北海道滝川市における不正受給事件を契機に、厚生労働省の通知により、被保護者が通院医療機関の変更や移送費の制限を迫られたことは記憶に新しい。精神障害のある方の多くは、医療関係者との信頼関係の元に通院を継続することが安定した地域生活を送る上で極めて重要であるにもかかわらず、当時、必要な移送費が支給されなかった事実を受け、本協会は要望書を提出した経過がある。この時、厚生労働省は通知を出し直した経緯もある。今回もきわめて稀でかつ法律上では不正受給とは言えない事例を一般化し、生活保護の抑制を図るという構図が垣間見え、障害のある方々を支援する専門職の団体として、この国の福祉のありように対する危機感を抱かざるをえない。

2.我が国においては、憲法第25条で健康で文化的な最低限度の生活を送る権利が一人ひとりの国民に認められているにもかかわらず、最後のセーフティネットである生活保護制度すら利用できずに、餓死や孤立死などの事態を引き起こしている。また生活保護受給の背景には、何よりも長引く景気の低迷、そして雇用の不安定や年金、医療など他の社会保障制度の脆弱さがあることも明らかである。生活保護制度のみをことさら強く問題視し、生活保護基準引き下げの根拠に社会保障制度として位置付けの異なる年金制度の基準額との比較を持ちだす等、暮らしや生命や権利を護るための議論ではなく専ら費用抑制の観点から安易な議論がなされていることに強く警鐘を鳴らしたい。

3.特に障害のある成人にとって、親や家族から独立して生活するための社会的基盤となる所得保障制度の確立は長年の要望課題である。しかし、無年金問題等の未解決課題を含め未だ整備されないままに経過している。加えて、我が国は家族構造が大きく変化している現代にあって尚、家族内扶養の価値観や道徳観が極めて重い社会であり、社会的ケアに委ねられないまま、障害のある人とその家族が追い詰められた結果の不幸な事件は後を絶たない。国が果たすべき公的責任による国民の生活を守る権利としての社会保障を家族に負わせ続けることは、障害のある人たちの権利保障の運動にも逆行するものであり、断じて許されない。

 なお、国においては国民の生活を第一に考え、社会保障を確実なものとするための政治および政権運営を期待する。また、報道関係各位には正確な知識と情報に基づく報道をお願いしたい。

以上

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標題 生活保護を巡る動向について〜構成員の皆さまへ〜
日付 2012年5月31日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠

 昨年度から生活保護受給者および保護費急増を背景に生活保護制度の見直し等に係る検討が社会保障審議会などで行われています。ここ数日は費用抑制などの議論の延長線上で浮上した有名芸人の母親の生活保護受給問題を発端に、マスコミ報道が過熱化し、生活保護制度や生活保護受給者全般に問題があるかの如き報道がなされています。マスコミ報道やネット上での生活保護に対するバッシングのみならず、厚生労働大臣から議論の手続きも経ずに制度見直しについての言及がなされるなど、本協会としては看過できない事態が出来しています。

 2007年北海道滝川市における不正受給事件を契機に、通院医療機関の変更や移送費の制限を迫られたことは記憶に新しいところです。今回もきわめてレアでかつ法律上では不正受給とは言えない事例を一般化し、生活保護の抑制・適正化を図るという構図が垣間見え、危機感を抱かざるをえません。国民の最後のセーフティネットである生活保護制度は今でさえ十分にその役割を全うせず、餓死や孤独死などを招いている実態があります。また生活保護受給の背景には雇用の不安定や年金、医療など他の社会保障制度の脆弱さがあるからではないでしょうか。その認識なしに生活保護のみに焦点をあて問題としていることに、私たちは強く警鐘を鳴らさなければなりません。

 本協会としてはこの事態を受け、生活保護抑制においての厚生労働省の対応や他団体の動きなどの情報収集を図り、また各地の自治体の対応や現場での受給抑制による権利侵害事例などの実態把握をした上で、6月に熊本で開催される理事会で対応策を決定したいと考えています。構成員の皆様には今しばらくのご猶予をいただくことをご理解の上、身近に生活保護費抑制に関する事例等があれば、情報提供をお願い申しあげます。

 情報をお寄せいただく際には、個人情報が特定されないようにご配慮の上、1)お名前、2)構成員番号、3)連絡先を記載の上、下記へお寄せください。メールでお送りいただく際、安全のためパスワードを設定する必要がある場合は、送信前にご一報くださいますようお願いいたします。

 <送信方法>
   タイトル:生活保護制度に関する情報提供
   送信方法:E-mail:office@japsw.or.jp/FAX:03-5366-2993

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標題 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた 検討チームにおける「保護者制度・入院制度」に 関するヒアリング
日付 2012年4月27日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム
 提出資料PDF/603KB) 

 厚生労働省リンク:新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム

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標題 精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会ヒアリング
日付 2012年4月25日
発信者 社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先 精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会
 提出資料PDF/926KB)

 厚生労働省リンク:精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会

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